なかなか犬のようにはできないよ……と思うでしょう。たしかに、人間は自尊心にじゃまされやすいですから。
そういうときは、こう自問してください。「このちんけなプライド(自尊心)を持つことで、目標達成に近づくの?」と。
あなたは目標を持って新しい職場に来たはずです。成果を出す。キャリアアップする。仕事を通じて、みんなをしあわせにする。その目的に対して、チンケなプライドはマイナスでしかない。
目標達成に役立たないちんけなプライドなら、ぶっこわしてしまえばいいんです。
それでも、どうしても自尊心がじゃまをして……というときには、やや僭越ですが、たとえば僕、伊藤羊一の顔を思い浮かべていただきたい。「あなたの成し遂げたいゴールって、そんなチンケなプライドより価値がないものだったんだ?」とあざ笑ってる僕を思い浮かべて、「なんだと!」って奮起してほしい。
リモートでこそ1on1を重視
人と会いづらいこの時期に新しい職場に移るということで、コミュニケーションに不安を持っている人もいるでしょう。この点についてアドバイスするとしたら、「1対1でもZoomミーティングをどんどんセッティングしよう」ということ。
あまり指摘されていないようですが、多人数でのミーティングは普通にZoomで代替されているのに、1対1だとなぜか心理的なハードルがあって……という傾向が見うけられます。
職場のコミュニケーションは、1on1が基本。チームは1on1の関係の集合体です。それを忘れてはいけません。
これまでは、1対1でちょっと立ち話をしたりする機会があった。それが今、できないのなら、ちゃんとリモートで補う必要があります。実際、リモートでうまくいかないという人に「1対1でZoomやってます?」と聞くと、たいていやっていないんです。
ですから、1対1だろうと、まだ実際には対面していない相手だろうと、どんどんZoomミーティングをセッティングしましょう。
「議題を決めて……」なんて言ってるとハードルが上がりますから、まずは「ご挨拶したいのでお時間をいただけますか?」という感じでいいと思います。
私はこの1年、武蔵野大学のアントレプレナーシップ学部(2021年4月開設)の準備をリモート中心でやってきました。一緒にやってきた仲間の中には、「知り合って1年、やっとリアルで会えましたね」なんて人もいる。でも、ちゃんと仕事は進んでいます。「Zoomでも、人に“会う”ことはできるんだな」と感じます。
状況が変わっても、人はちゃんとそれに適応して、進化していきます。コミュニケーションについても、もちろん同じ、ここで紹介した5つのステップをリモートでも同じようにやればいいだけ、とシンプルに考えるのがいいでしょう。
伊藤羊一(いとう よういち)◎Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長、ヤフー株式会社コーポレートエバンジェリスト、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長、株式会社ウェイウェイ代表取締役、グロービス経営大学院 客員教授。日本興業銀行、プラスを経て2015年よりヤフー。現在Zアカデミア学長としてZホールディングス全体の次世代リーダー開発を行う。代表作に50万部超ベストセラー『1分で話せ』ほか、『1行書くだけ日記』『1ブレイクセルフ』など。