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4. しかるべき人にアポをとって話を聴く──仮説の解像度を上げる
いよいよヒアリングです。ここから、いろんな情報が入ってくるようになります。
理想としては、初日から1週間くらいでこの4番目、アポをとるところまでこぎつけたいですね。すると、スタートダッシュがうまく行ったと考えていいと思います。
私はヤフーに転職したとき、こう動きました。入社して、あいさつからはじめて、それから1週間で、30人くらいにアポを取った。その30人からヒアリングをするのに、さらに2週間。
このくらいの人数に話を聴くと、だいたいのことはわかります。私の場合なら、企業内大学をいいものにしていくにはどうしたらいいか。ヤフーが今抱えている課題はなにか。解決するためにどんなことがハードルになっているか。すべて、あらかじめ用意してきた仮説をもとに聴いていく。聴きながら、仮説がズレていた部分は修正されるし、当たっていた部分はより具体的になっていく。仮説の解像度が上がっていくわけですね。
しかして、問題はこの先です。
5. 「企画モード」に移行──自分でスイッチを入れろ
わからないことはいくらでもありますし、情報は集めようと思えばいくらでも集められます。ヒアリングを続けて、気がつけば1年。仮説の解像度は上がったけど、まだわからないところがあるので動けない……では困る。
そこで、ある程度仮説の解像度が上がったら、ヒアリングモードから企画モードに意識してスイッチするようにします。聞いたことに基づいて、なにをやっていくかを考え始めましょう。
だいたい、2週間たったあたりからヒアリングと平行してラフな企画を考えはじめる。1カ月たった時点で、ざっくりした行動プラン──自分はいつ、なにをやるか──ができあがっている。それが理想です。
アホの顔をしろ、しっぽを振れ、よだれを垂らせ!
こういう動きを自分でできて、しっかりスタートダッシュを切れるか。それとも、「新しい職場でなにもわからないから」と指示を待っているのか。周りは意外なほど見ているものです。
僕の場合も、ヤフーに入社した1年後くらいに「羊一さん、みんなにあいさつしてましたよね」「めちゃくちゃアポ取ってましたよね」と言われました。最初の1カ月の動きはそれだけ印象に残るということでしょう。
気をつけなければいけないのは、周りの目を意識した結果、いかにも「できる人」ぶったり、賢そうな顔をしたりすること。そうすると相手は心を開きません。
僕がよく言うのは、表情をゆるめて「アホの顔をしろ」ということ。
新しい職場ではわからないことばかりなんですから、知ったかぶりしてもしょうがない。無邪気にアホの顔で聞きましょう。
「俺、わかんないんですけど」、「これなんですか?」、「へー!マジっすか!すごいっすね!」、「これはヤバイ!マジやばい!」。
みたいな感じです。
みんなが集まって話していたら、もじもじしていないで、好奇心と好意を表に出して寄っていく。犬が尻尾を振りながら、よだれ垂らしながら駆け寄っていく感じです。
「何なに?なんですか?」「私もまぜてください!」と。みんな「こいつは仲間に入りたいんだな」「よしよし、かわいいやつめ」と警戒心を解いてくれる。すると、どんどん情報が入ってくるようになります。「社長はああ言ってるけど、ぶっちゃけこうなんだよね」と。よだれを垂らすくらいでないと、「ぶっちゃけ」は出てきません。