IOC、「膝つき」などの抗議認めず 選手の大半が不適切と判断

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国際オリンピック委員会(IOC)は21日、五輪の競技会場などでの示威行動や政治的、宗教的、人種的な宣伝活動を禁じた五輪憲章第50条を変更しないと発表した。米国で昨年起きた警察官による黒人暴行死事件を機に人種差別への抗議が広まったことを受け、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)などが見直しを求めていたが、選手を対象とした調査で大半が抗議禁止を支持したことを踏まえ、東京大会でも引き続き適用することを決めた。
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昨年5月、米ミネソタ州で黒人のジョージ・フロイドが白人の警察官に首を圧迫されて死亡した事件のあと、社会正義を求めるデモが世界各地で相次いだ。そうしたなか、USOPCのアスリート評議会は同6月、IOCに対して、第50条を廃止し、選手側と協力して、選手の表現の自由を守る新たな指針を策定するよう求めていた。IOCは昨年、第50条で禁じられている行為には腕章やサインによる政治的なメッセージの表示のほか、手振りや膝つきも含まれると明確にしている。

IOCは21日の発表文で、内部のアスリート委員会から、競技会場や公式式典、表彰台での抗議活動の禁止を維持してそうした場を守るよう求める提言があり、それを受け入れたと説明した。

IOCによると、昨年6月以降、五輪の全41種目の代表を含む185の国や地域の選手3500人あまりを対象に調査を実施。その結果、選手の過半数が競技会場や公式式典、表彰台では示威行動をしたり自分の意見を表明したりするのは適切ではないと考えていることがわかった。競技会場と公式式典については回答者の70%、表彰台については67%がそうした行動は不適切と答えたという。
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ただ、調査では、選手がこれらの場で何をする権利があって何をする権利がないのかについて、広範な不一致もみられたようだ。アスリート委員会は「五輪では選手のパフォーマンスやスポーツ、五輪の価値観をたたえることに引き続き重点を置く」のが大切だと主張する選手もいれば、表現の自由や言論の自由はほかの論拠よりも優先すると感じている選手もいたと言及している。

アスリート委員会の委員長を務めるジンバブエの元競泳代表、カースティー・コヴェントリーは提言について説明した際、「何かに気をそらされて競技の価値が下がるというようにはなってほしくない。これがわたしがいまも感じていることです」と語った。

アスリート委員会は、五輪会場で何らかの抗議活動をした選手にどのような処分が科されるかは明らかにしておらず、IOCの法務委員会が「見合った程度の処分」について明示する必要があるとだけ述べている。

編集=江戸伸禎

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