ビジネス

2021.04.29 17:00

米国の銀行間送金を爆速化するフィンテック企業「Orum」の挑戦


2020年にサービス開始


Orumは、2020年に最初の顧客に対してサービス提供を開始し、月間数千万ドルを処理している。顧客は、Orumに対して月間5000~2万5000ドルの手数料を支払っている。

Orumはまだ設立から間もなく、多くの課題に直面している。金融機関とのシステム統合は複雑で、「技術チームにはかなりの努力が求められる」とKirkpatrickは述べている。現在、50社がOrumとのシステム統合を待っている状況だ。

また、米政府が連邦準備銀行に“デジタルドル”と呼ばれるデジタル通貨を発行させれば、決済速度は飛躍的に向上し、Orumに対するニーズは減少するだろう。Orumに出資したベインキャピタルでパートナーを務めるMatt Harrisは、次のように述べている。

「デジタルドルの最も積極的な活用法は、全ての米国民が連邦準備銀行に口座を持ち、瞬時にお金を動かすことができるようにすることだ。それが現実になると、キャッシュマネジメントで銀行に依存したり、ビサやマスターカードを使って支払いをしたり、送金にVenmoを使う必要がなくなり、数多くの金融サービス企業が危機に陥るだろう。しかし、連邦準備銀行は、銀行業界を破壊するつもりはないと言っており、そのような将来を目指しているとは思えない」

Harrisは、デジタルドル口座の用途は、不況対策の現金給付で公的資金を支出する場合など、限定的だと考えている。

編集=上田裕資

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