「トイレのスティーブ・ジョブス」。
ウォール・ストリート・ジャーナルに書かれた男は、おそらく日本の起業しに名を残すだろう。アメリカの名門企業ゼネラル・エレクトリックからやってきた藤森義明。ゲームに勝ち続けるために、つねに強いリーダーを演じきる彼は、たった3年でグローバルカンパニーを築き上げた!
米GEで日本人として最高の結果を残し、世界で戦えるリーダーシップを体現した男が帰ってきた。現LIXIL取締役社長の藤森義明である。東京大学工学部を卒業し、35歳のときに日商岩井(現・双日)からGEへ転職した彼は、いつからか「60歳で日本の企業で日本のために何かをしたい」という思いを募らせていた。そこへ渡りに船といわんばかりに社長の座を依頼した当時のトステム社長潮田。ホールディングス会社の実質的な経営一本化へのアドバイスを行った藤森本人に、創業者である父の教えに背き自身の会社の運命を任せたのである。そこで藤森は圧倒的な経営手腕を発揮する。就任当時に400億であった海外事業売上高を1兆円にするという目標を掲げ、すでに3年で7倍以上となる約3000億円を見据える有言実行の達成率を可能にしたのだ。さらに国際的大企業で成功を収めた藤森ならではの攻め姿勢のM&Aに着手し、そこでも会社してひとつになることの重要さを説いた。「ルールが途中で変更されないことで完璧なゲームが生まれる」という信条の元、その舞台に公平な機会、公正な評価制度を与えるべく『ひとつの強い会社』を創り上げようと進み続ける強靭なリーダーに「買われた側」の経営陣も自然に魅せられ、今では強力な絆が芽生えている。カリスマ性、実務経験、リベラルな感覚、すべてを兼ね備えた日本屈指のリーダーの旅は続く。