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2021.04.06

編集部イチオシ、スモールジャイアンツ特別賞受賞企業13社

三鷹光器はエネルギー領域にも進出し、 太陽光を熱エネルギーに変えて利用する蓄熱システムの研究開発も推進している。


GLOBAL NICHE


RENIAS レニアス


本社:広島県三原市
設立:1976年
従業員数:145名
代表:前田 導

グローバル市場を席巻する樹脂製窓

高機能樹脂「ポリカーボネート(ポリカ)」製品のメーカー。ガラスと比べて軽量で耐衝撃性に優れるポリカは、CDやDVD、メガネなどさまざまな領域で採用されている素材だが、レニアスが得意としているのは透明な「窓」だ。

ポリカは擦り傷がつきやすく、これまで窓には使われてこなかったが、レニアスは独自のコーティング技術を開発し克服。また耐久年数も通常の3倍の15年と長期化に成功した。国産の建設機械の窓ではシェア9割以上。また、ゴルフカートやバスの窓にも同社製品が採用されている。

2014年には、海外に進出。世界最大の農機メーカーで大型機械に採用されるなど、アメリカ、カナダ、フィンランド、デンマーク、ブラジル、韓国、中国など世界中で実績をあげ、海外売上比率は約25%と急成長している。

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グローバル進出にあたって、当時の売り上げの2倍に迫る50億円を投資し高さ5m、全長30mの巨大成形機械を開発。これにより過酷な環境でも耐えうる樹脂製窓を生み出した。

REASONS FOR SELECTION

徹底した市場調査を重ねて、小さな会社ながら50億円もの大型投資を実現。海外で通用するポリカーボネート製品を生み出し、急速に実績を積み上げていることを評価した。


TAKAGI SEIKO タカギセイコー


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本社:長野県中野市
設立:1955年
従業員数:約180名
代表:高木一成

世界80カ国で愛用される眼科機器

医療領域のなかでも、「眼科」に特化した機器を展開している。1955年に創業した「高木製作所」が前身。当初は医療機器メーカーの協力工場として委託製造をしていたが、70年代から徐々に自社ブランド製造へとシフトし、眼科専門の医療機器メーカーとなることを選択した。

診察用顕微鏡や手術用顕微鏡、イメージシステム、眼科用ファニチャーなど高精度・高品質な眼科機器を手がけるが、いずれの商品も自社で設計・開発から製造・販売、アフターサービスまで一貫して行っている。

また、自社商品の開発当初から海外へ活路を見いだし、地道に各国の法規制への対応や販売ネットワークの構築を進めてきた。その結果、現在では約80カ国に進出し、海外売上高は約70%。地方発のグローバル企業に成長している。

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「タカギブランド」の眼科機器は、熟練の職人や独自のノウハウを生かして高い精度でつくり込まれており、患部が鮮明に「診(み)える」と世界80カ国の眼科医師の支持を得ている。

REASONS FOR SELECTION

自社製品の開発当初から海外市場に目をつけ、40年にわたりノウハウを蓄積。法規制対応や販路構築など、参入障壁の高い医療業界で、世界に羽ばたいていることを評価した。


PIONEER


SHIKO シコウ

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本社:石川県金沢市
設立:1966年
従業員数:37名
代表:北村敏春

オンリーワンの無人搬送車システム

製造業の生産現場や物流センターの倉庫などで需要が拡大している無人搬送車(AGV)の専業会社。競合メーカーの多くが汎用のAGVを拡販する戦略なのに対して、シコウでは、顧客のニーズに応じたオーダーメイドの製品開発に特化している。

「シコウは逃げない」をモットーに、大手メーカーでも困難な開発案件を一手に引き受け、最適なシステムを提案。商談から設計・板金・電装・プログラミングといった一連の工程を社内で連携を取りながら一貫して展開し、“オンリーワン”のものづくりに挑戦している。

創業社長の死去に伴う事業承継がうまくいかず、資金繰りが悪化して、一時は億単位の負債を抱えたが、現社長が経営改革を行い、原価意識を高めるとともに、高付加価値を提供する戦略に舵を取ったことでV字回復を遂げた。

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2019年8月に開設した新工場では、4.8tの大型クレーンを2基導入し、40t級の重量物を搬送できるAGVの開発にも対応。病院や介護施設での配膳用など、人手不足が深刻な非製造業分野に向けたAGVの開発にも着手する。

REASONS FOR SELECTION

生産年齢人口の減少に伴い、自動搬送システムが注目を浴びるなか、約40年にわたって事業を展開し、ソフトウェアも含めたトータルシステムを提供している点を評価した。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 5月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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