こうしたサービスは、本当にコロナ禍によって押し進められた仏法僧の革新的なムーブメントと言えるのか。
葬儀社スタッフ、編集プロダクション勤務を経て、2010年からデジタル遺品や故人のサイト、SNSなどの取材を本格化したフリー記者の古田雄介氏。著書に『故人サイト』(社会評論社)や『スマホの中身も「遺品」です』(中央公論新社)などがあり、日本の「デジタル遺品、デジタル終活」研究の第一人者である。
仏法僧といっても、日本では宗教行為と供養行為が複雑に入り交じっている。たとえば、お葬式は「葬儀」という宗教儀式と、「告別式」という人前式が合わさったものだ。法要は宗教行為だが、親族が集まる機会や口実という側面もある。
だから「仏教とIT」というテーマは表層で捉えるよりも、「ニーズの本質はどこか?」という視点で向き合うほうがわかりやすいと古田氏はいう。そのうえで、仏法僧/供養と分けてそれぞれのデジタル化の現状、また今後どこまで浸透していくのかについて話を伺った。
仏教というと日本では馴染み深いようで、意外とよく知らないという人が多いのではないだろうか。日本人の多くがお寺にお参りに行ったり、法要をしたりするが、実際に仏教を信仰していて、実家が何宗であるか知っている人はあまり多くないだろう。
デジタル社会に生きる現代人にとって、今後ますます仏教との関わりは薄れていくのでは、と危惧される向きもあるが、「実は『スマホの世界から入れるお寺』のようなものはすでに存在しているのです」と古田氏は言う。
古田雄介氏
定着したウェブサービスも 僧侶への「お布施」は?
「hasunoha」は、悩みや質問を投稿すると、全国の僧侶が仏教の教えをもとに回答してくれるというQ&A形式のサービスだ。2012年にフリーエンジニアの人がサービスの枠をつくり、現在では、取り組みに賛同した約300人もの僧侶がhasunohaに在籍しているという。
hasunohaのトップページ(画像提供:ロータスリーフ)
さまざまな質問・相談があるが、下記のように「死別体験から来る苦しみをどのようにして乗り越えればよいか」、という相談事は多いようだ。
質問者からの質問の一部例(画像提供:ロータスリーフ)
上記、質問者からの質問に対する僧侶からの回答(画像提供:ロータスリーフ)