南カリフォルニア大学(USC)の研究者が主導し、米医学誌『Annals of Internal Medicine』に発表されたこの研究によると、2020年4~6月にかけて、アルコール飲料の売り上げが前年同時期と比べて34%増加し、タバコの売り上げも同様に13%増加したという。
「これらは有意な増加であり、パンデミックによるストレス、退屈、孤独が、アルコールやタバコの使用を増やした可能性を示している」と、研究の筆頭著者ブライアン・P・リー医学博士は述べている。リー博士は、南カリフォルニア大学ケック医学部および同大学の中毒科学研究所に所属し、肝臓移植を専門とする肝臓専門医だ。
リー博士らは、肝硬変やアルコール性肝炎といったアルコール関連肝疾患の入院患者数が、2020年に予想より有意に増加していることに気づき、研究を行うことにした。南カリフォルニア大学ケック付属病院の記録を調べたところ、これらのアルコール関連疾患の入院が、2019年に比べて30%増加していたという。
研究チームは、アルコール飲料やタバコの売り上げ動向を調べるため、米国約7万世帯の消費動向を追跡するニールセンの全国消費者パネルのデータを分析した。その結果、これらの売上増が全国的な傾向であることを確認した。
また、重要な点として、若年成人、人種マイノリティ、幼い子どものいる人、家族が多い人、所得が高い人のあいだで、特に売り上げが増加していたことが明らかになった。
「幼い子どもがいる人を含むこれらのサブグループは、他の層よりもストレスを感じており、そのためアルコールやタバコの購入が増えているというのが我々の仮説だ」と、リー博士は述べている。
また、ビールやワインに比べてハードリカー(度数の高い蒸留酒)の売り上げが増加していることも明らかになった。リー博士らは、このようなアルコールやタバコの売上増が、パンデミックの最初の3カ月を過ぎても継続しているかどうかについて、さらなる調査を行っている。