アジア系女性銃殺事件を担当の保安官、SNSに人種差別的な投稿

ジョージア州チェロキー郡の保安官ジェイ・ベーカー / Getty Images

3月17日にジョージア州アトランタで発生した銃撃事件は8人が死亡し、そのうち6人がアジア系女性だったことから、犯人が人種的憎悪を抱いていたとの見方が強まっている。

しかし、事件の記者会見で、その見方を否定した保安官が昨年の春に、自身のフェイスブックに人種差別的なメッセージが書かれたTシャツの写真を投稿していたことが発覚し、強い批判を浴びている。

ジョージア州チェロキー郡の保安官ジェイ・ベーカーは昨年3月と4月に、「COVID-19」というロゴの下に「CHY-NAから輸入されたウイルス」という文言が書かれたTシャツの画像をフェイスブックに投稿していた。

この件を報じたDaily Beastによると、問題のTシャツは現地の元保安官が経営する店が販売したもので、ベーカーは「気に入った」と述べ、「在庫があるうちに買っておくように」と、仲間にも購入を進めていたという。

ベーカーは、Daily BeastとBuzzFeed Newsがこの件を報じた直後に問題の投稿を削除し、その後、自身のフェイスブックページ自体を削除した。

ベーカーはアトランタで発生した銃撃事件の記者会見の場で、容疑者の動機に人種的な偏見が含まれていたという見方を否定し、批判を浴びた。21歳の容疑者は精神的に不安定な状態にあったとされる。ベーカーは「昨日は彼にとって本当に悪い日だったんだろう。その結果、このような事件を起こした」と述べていた。

警察によると、21歳のロバート・アーロン・ロングは犯行を認めているが、人種差別ではなく、性依存症が犯行の動機であり、「邪悪な誘惑」を取り除くためにマッサージパーラーで働く女性を殺害したと述べているという。しかし、多くの人は人種的な偏見が動機だったと考えている。

民主党のテッド・リュウ下院議員はツイッターで、「犯人がアジア系の女性から誘惑を受けたために彼らを殺したと主張するなら、それは人種的偏見に基づいた犯行だ」と述べた。

新型コロナウイルスの責任は中国にあるという考え方は、パンデミックの間にドナルド・トランプ前大統領が繰り返し主張していた。トランプは、公衆衛生の専門家たちの反発を受けても、コロナウイルスを「中国ウイルス」や「ウーハン・フルー(武漢のインフルエンザ)」などと呼んでいた。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は3月17日、前大統領の発言が、アジア系アメリカ人に対するヘイトクライムの増加につながったと述べた。

編集=上田裕資

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