Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2021.03.19 16:00

挑戦の前に大切なこと、それは成功体験。投資先の理念に惹かれスタートアップに飛び込んだ投資家の視点

A.L.I. Technologies代表取締役社長 片野大輔

スタートアップの株主だった投資家が、その理念に惹かれ、自ら事業を推進することに──。

クルマやバイク、ドローンが自由に空を飛び交う「エアーモビリティ社会」の実現を目指すA.L.I. Technologiesの代表取締役社長片野大輔は、投資家、コンサルタントとして培った豊富な経験と知見をフル活用している。

片野によると、投資家視点で見てスタートアップに欠かせない大切なものがあるという。それは「成功体験」だ。


天才的に尖ったエネルギーあふれる人と働くことが好き。飛び込むしかないと思った


私の場合、一般的な転職のケースとは異なっています。もともと、A.L.I. Technologies(以下、A.L.I.)の株主でした。創業者の小松周平(現・代表取締役会長)の語る事業構想に興味を惹かれ、応援したいと思って株主になりました。その後、株主として事業上の相談に乗るうちにビジョンや世界観に共感し、役員として参画することになったのです。

A.L.I.にジョインする前は、コンサルティング畑を歩んでいました。スタートアップ向けのコンサルティングと投資を行う会社に就職し、その後、大手の戦略コンサルティング会社を経て、A.L.I.の直前は大学時代の友人とコンサルティングと事業投資の会社を経営していました。大学時代には仲間内で練習程度にサービスを立ち上げたことがありましたが、今振り返ると、もともと事業の立ち上げや経営に関心があり、スタートアップとの関わりも持ちながら、次第にスタートアップの内側にシフトしてきたのです。

A.L.I.にフルコミットで参画することにした決め手は、小松の存在です。僕は、天才的に尖っていてエネルギーがあり、大きなビジョンもあるけれど、会社組織や事業を創っていけるかはわからないようなじゃじゃ馬的な人と働くことが好きなのです。ちょっと変わった人といたほうが自分にとっても刺激になりますし、普通の人が普通に考えてやるのとは違うことができると思っています。小松のような、人生の中でなかなかめぐり逢いそうにない人物が、今、目の前にいて事業を立ち上げようとしている。これは飛び込んだほうがいいと決断しました。

もちろん、エアーモビリティへの期待感もありました。僕と同世代の起業家の多くがインターネットビジネスに向かうなかで、僕は大学も理数系で、ハードウェアやロボットなどに興味がある。その点もフィット感がありました。

参画するにあたり、事業面での不安はありませんでした。取締役として入る以上は、不安も何もすべて受け入れ、自分でゼロからつくる覚悟でいました。お金を集めるのも、人を集めるのも、お客様を見つけることもすべて自分がコントロールできる範囲の話です。構想の実現に向けて、優先順位をつけて進めていくのが自分の責務だと思いました。



事業が大きくなる瞬間はカオス。向き不向きは確かにある


スタートアップには2つのフェーズがあると思っています。会社に何もなくて、機能を埋めるために人が入るフェーズと、ある程度、人が増えた後に、人材、テクノロジー、サービスなど何らかの魅力があるから、人が入ってくるフェーズです。私が参画した当時は、明らかに前者。小松の思い以外何もなく、それ以外をすべて埋めるために私が入りました。

ただし、大前提としてスタートアップは向き不向きがあります。ベンチャーキャピタル(VC)業界の方々が魅力的な発信をしてくれているおかげで、スタートアップへの転職を考える人自体は増えてきたと思います。給与水準も、大企業とのギャップはだいぶ埋まってきました。

しかし、やはり会社が立ち上がり、事業が大きくなる瞬間はカオスです。言われた業務をやるだけでは前に進みませんし、やることも日々変わる。いわゆるジョブディスクリプションもあってないようなもので、当初の提示とは違うことをするかもしれないし、雑用が続くフェーズもあるかもしれません。

いろいろなものが整っている、ある程度規模が大きい企業とは確実に違いがあります。入ってみて、思っていたものと違うと感じる人も少なくないでしょう。実際、大企業からスタートアップに来て、短期間で辞めてしまう人もいます。スタートアップの世界に飛び込むには、ある程度の想定と覚悟が必要だと言えます。

僕自身は、スタートアップに移ってとても良かったと思っています。コンサルティングや投資のバックグラウンドが長いので、事業会社は投資先としては見ていたものの、自分がフルコミットで入る経験はありませんでした。加えて、A.L.I.はメーカーとしてモノを作っているので、品質保証、管理、生産などよくあるIT系のスタートアップなどにはない機能をゼロから作らなくてはいけません。それは新しい経験で、学ぶことが多々あります。

自分は大企業の経営人材ではなく、ミドルサイズが向いていると思っていました。ここまでは思い描いていた通りのキャリアです。今後の展望は、今の会社の事業を拡大し、ビジョン通りに次世代のインフラ企業として育てていきたいと考えています。

その後はわかりません。自分がこの会社の代表をずっとやったほうがいいか、別の人がやったほうがいいか、それは会社の成長、フェーズ、何を重視するかで変わってくると思います。




兼業、副業などで自分の力を検証し、一歩踏み出すきっかけに


これからスタートアップに挑戦したい人へ、伝えたいことがあります。

兼業や副業、週末を利用して手伝うなど時間を切り売りする形でいいので、一度、自分の知見を外で活用してみるといいと思います。スタートアップ側からしたら、優秀な方にフルコミットで来てほしい気持ちはありますが、やはりいきなり中に飛び込むのは怖い、いきなり自分が積み上げてきたものを壊すのは怖いという気持ちは誰しもあるでしょう。

自分の中にあるすき間の時間で、例えば小さなことからでも何かを手伝い、自分の持っているスキル、経験が社外で役立つという成功体験を積むことが大事だと思います。

僕自身も、大手戦略コンサルティング会社時代に、将来コンサルタントとして独立した際に売り上げを作れるかを想定し、自身の経験を積むために、知人の会社の相談に乗ることがありました。

今は、外の世界で働いて自分は世の中に認められるのか、結果を出せるのかという不安を、フルタイムで移ることなく検証できる手段がどんどん増えています。一歩踏み出すきっかけとして、積極的にやるといいでしょう。

ただ、そのような手段が広まると、大企業に籍を置きながらお手伝いで満足する人が増えてしまうかもしれません。そうすると我々スタートアップ側にとっては、優秀な方がフルコミットしてくれないケースが多くなるというリスクもあります。

とはいえ、ポテンシャルのある方にスタートアップに移ってもらうには、トライできる機会を増やすことが重要だと思います。一人でも多くの方が、スタートアップで自分の本当にやりたいことにチャレンジできることを願っています。



 
片野大輔
かたの・だいすけ◎株式会社A.L.I. Technologies代表取締役社長



▶特集:FUSE to Innovation

1. 産学官で取り組む、ニューノーマル時代のイノベーション創出
2. 迷いはゼロ、満足度は1000%。電通から世界を変えるスタートアップへ転じた挑戦者
3. サステナブルな水産養殖の世界へ。なぜ私はスタートアップに身を投じたのか
4. 大好きな『ONE PIECE』の世界がここにあった。スタートアップ愛あふれるCOOのキャリア哲学
5. 本記事│挑戦の前に大切なこと、それは成功体験。投資先の理念に惹かれスタートアップに飛び込んだ投資家の視点

▶for Startups

Promoted by for Startups