決済企業ペイパルと、CIAが支援するビッグデータ企業のパランティア(Palantir)の共同創業者として知られるティールは、ヴァンスの上院選出馬に向けて設立されたPAC(政治活動団体)の「プロジェクト・オハイオ・バリュー」に、1000万ドルを寄付した。
また、かつてスティーブ・バノンと連携していた共和党のメガドナーとして知られるヘッジファンドの大物、ロバート・マーサーの家族もこのPACにかなりの額を寄付したが、その額は開示されていない。
ヴァンスはまだ正式に出馬を宣言していないが、出馬すれば引退する共和党上院議員のロブ・ポートマンの議席を争うことになる。
ヴァンスが2016年に出版したベストセラーの「ヒルビリー・エレジー」は、ラストベルトと呼ばれる米国中西部での幼少期を描いたもので、白人が大多数を占める米国の地方の暮らしを克明に描き、トランプ支持の高まりを説明する著作として注目を浴びた。
この作品は、エイミー・アダムスとグレン・クローズ主演でネットフリックスで映画化され、クローズはアカデミー賞の助演賞にノミネートされた。
現在36歳のヴァンスは、イェール大学のロースクールを卒業後に、ティールのベンチャーキャピタルのMithril Capitalに勤務した過去を持ち、最近でもティールの支援を受けて、自身の会社を立ち上げていた。
リバタリアンを自称するティールは、民主党支持者が大多数を占めるシリコンバレーにおいて、共和党支持を公言する数少ない人物であり、2016年の大統領選挙においても、トランプを支持していた。
彼は昨年、カンザス州の上院選挙で敗れた移民強硬派のクリス・コバックを支援したが、トランプの2020年の再選キャンペーンからは距離を置いたと報じられている。マーサー家は、2016年のトランプの選挙キャンペーンに大口の寄付を行い、右派メディアのBreitbartや、今は亡きデータ会社ケンブリッジ・アナリティカにも資金を提供していた。
ロバート・マーサーの娘のレベッカ・マーサーは現在、保守派のSNSの「Parler」の主要投資家となっている。