日産自動車のシニアバイスプレジデントで北米マーケティング&セールスのプレジデントを務めるマイク・コレランは2月16日、オンラインで開催された自動車記者会(Automotive Press Association)で、記者からの質問に、「当社はアップルといかなる協議も行っていない」と述べた。
コレランはさらに、詳細についてはふれずに「当社はテクノロジー企業との会話に対してオープンだ」と話したが、パートナーシップを結ぶのは双方が利益を得られる場合に限られると述べた。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は2月15日、アップルが最近数カ月以内に日産に接触し、初期段階の交渉を行ったものの、役員レベルの話し合いには進まなかったと報じたが、日産の広報はその後のロイターの取材に「現時点でアップルと協議はしていない」とコメントしており、今回のコレランの発言は、それに同調するものと言える。
日産に先立ち、アップルと交渉中と報じられた韓国の現代自動車や起亜自動車も、その報道を否定していた。
日産にとっては、このような報道よりも野心的な構造改革プランの「NISSAN NEXT」に注目して欲しいのかもしれない。コレランは、この計画が単なるスローガンではなく、「製品を変え、文化を変え、事業を根底から変えていく事業計画だ」と述べた。
北米日産は、20カ月のうちに10の新型モデルを発表する予定で、そのうちセントラ(Sentra)とローグ(Rogue)は既に発売中だ。コレランによると、この2つのモデルの販売は好調なスタートを切っており、市場シェアも伸びているという。
コレランはさらに、今年後半に登場するフェアレディZの新モデルが、日産のDNAを受け継ぐエキサイティングな車両になると述べたが、詳細については、V6ツインターボエンジンを搭載すること以外は多くを語らなかった。
市場のトレンドが、SUVやクロスオーバーなどに向かう中で、なぜ新たな乗用車を投入するのかという質問にコレランは、「人々は今もなお、エネルギーあふれるクルマを求めている」と話した。
ゴーン逮捕の混乱から抜け出す日産
ビジネス面について、コレランはディーラーが抱える在庫が減少していることにふれ、顧客の需要に基づいて車両を生産していくと述べた。「顧客の声に耳を傾け、プッシュ型からプル型にカルチャーを変えていく」と彼は説明した。
日産は、2021年の業界全体の自動車販売台数を約1620万台と予測しており、コレランはこの数字がパンデミックの影響からの継続的な回復を示すものだと述べ、自動車業界は人々が考えていたよりも早く回復したと話した。
ここ最近の日産のもう一つの変化としては、「Nissan at Home」を通じた、オンライン販売の強化も挙げられる。デジタル化の動きはパンデミックの前から始まっていたが、コレランはその流れが加速したと述べた。
技術面に関してコレランは、プロパイロットと呼ばれる日産の先進的な運転支援テクノロジーに、最終的にハンズフリー運転機能が搭載されることになると述べたが、時期については明らかにしなかった。
前CEOのカルロス・ゴーンの離脱と逮捕による社内の混乱や、販売の停滞期を経て、日産は軌道修正を図り、復活した商品ラインから若さとエネルギーを打ち出そうとしている模様だ。
「私たちは非常に若いブランドになるだろう。1年のほどの間で、最も古いブランドから最も若いブランドになるのだ」とコレランは語った。