コロナ後も続く、米スーパー業界に起きた3つの大きな変化

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食料品を販売するスーパーマーケットは長い間、経済に欠かせない存在となってきたが、大半の人は新型コロナウイルスの大流行が起きるまでその重要性に気付かなかった。

買い物客が店に入るため長蛇の列をなし、トイレットペーパーが品薄になると、スーパーは表舞台に立たされることになった。店側はすぐに、客ができるだけ安全に必要な商品を手にできるような、安全で便利な買い物体験を提供する方向へとかじを切った。

注目が集まったことで、業界は今、勢いを得ている。今後、その勢いに店側がどう乗るかが見どころだ。以下に、食料品の買い物方法に長期的な影響を与えるであろう3つの変化を紹介する。

1. ネット注文


食料品業界に起きた最大の変化は、なんといってもネット注文ブームだ。多くの店舗はコロナ前から既に店舗受け取りや宅配サービスを強化していたが、こうしたサービスはコロナ流行中に爆発的に普及した。

米国では1年前、ネットで食料品を購入した経験が全くなかった人が81%に上っていたが、コロナ禍で食料品をネット注文した人は79%近くに上っている。また、米国のネット食料品売り上げは2019年8月には12億ドル(約1260億円)だったが、昨年6月には72億ドル(約7540億円)に増加。ネット注文利用者も同期間で1610万人から4560万人に増え、1回の代金平均は72ドル(約7500円)から84ドル(約8800円)に増加した。

店側はネット注文の増加に対処するため、駐車場に受け取り専用の場所を設けたり、一部の店舗をネット注文の受注だけに使用する「ダーク店舗」に変えたりといった大きな改革を行ってきた。

ネット注文では購入する商品も変化し、個人に合わせた体験が作り出されている。実店舗では離れたところに配置されている関連商品も、注文用のアプリでは関連付けて表示できる。例えばステーキを検索したユーザーに、チミチュリソースをお勧め商品として示すといった具合だ。

また、人工知能(AI)を使ったアルゴリズムにより、焦点を絞ったマーケティング戦略も強化された。店はアルゴリズムを活用して顧客の購入傾向を理解し、商品を勧めたり、その人が頻繁に買うものを忘れた場合は注意を促したりすることで、ネット注文体験の向上が可能になっている。
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編集=遠藤宗生

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