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2021.02.10

ゲーム大手CD Projekt Redにサイバー攻撃、「ソースコードの身代金」要求

CDプロジェクトレッドの有名タイトル「Cyberpunk 2077」(Photo by Christian Petersen/Getty Images)

ポーランドのビデオゲーム開発会社CDプロジェクトレッド(CD Projekt Red)が2月9日にサイバー攻撃を受けたと発表した。ハッカーらは身代金を支払わない場合、同社の有名タイトルの「Cyberpunk 2077」や「Witcher 3」の未発表バージョンなどのゲームのソースコードを公開すると脅している。

CDプロジェクトは昨年12月、ここ数年で最も注目を集めた「Cyberpunk 2077」を大量のバグを残したままリリースし、動作不良を起こした件でファンやメディアから酷評されていたが、この件でさらなる苦境に追い込まれることになった。

同社はプレスリリースの中で、「正体不明の人物が内部ネットワークに不正アクセスを行った」と述べ、犯人が残したメモを公開した。身代金の金額は明らかにしていないが、「要求に屈したり、犯人と交渉したりすることはない」と述べている。

犯人が残したメモには、彼らが「Cyberpunk 2077」や「The Witcher 3」「Gwent」などの有名タイトルや、未発表バージョンのゲームのソースコードにアクセスしたと書かれている。さらに、ハッカーらは同社の会計や管理、法務、人事、投資家向け広報などの社内資料にアクセスし、それらを全て破壊したと述べている。

身代金が支払われない場合、彼らはソースコードを外部に漏洩するか売却し、機密資料を開示することでCDプロジェクトのイメージに悪影響を与えると警告している。同社は現在、被害の調査を続けているが、現在のところ個人情報の流出は確認されていないという。

今回のハッキングがCDプロジェクトが運営するデジタルゲームストアGOG.comに影響を与えたかどうかは不明だ。GOGのデータベースには数百万人の個人情報や支払いデータが格納されている可能性が高いため、ここにアクセスがあった場合、被害の深刻度は増すことになる。

CDプロジェクトは昨年、最も期待されていた人気タイトル「Cyberpunk 2077」のリリース時に、ファンからの怒りの声やメディアの強い批判にさらされていた。このゲームが最初にアナウンスされたのは2012年のことで、初期の段階では2020年4月に発売が予定されていたが、パンデミックや製作の遅延によって何度も延期された結果、12月10日にようやく発売された。

昨年はゲームの致命的バグが問題に


しかし、このゲームは、複数の致命的なバグが残ったまま発売され、特にPS4や Xbox Oneなどの旧世代ゲーム機版では、登場人物の歩行や会話、銃撃が不能になるなどの不具合が生じた。さらに、このゲームにはキャラクターの体のパーツをカスタマイズできる機能が盛り込まれていたが、主人公の陰茎がズボンから飛び出したままになるという、前代未聞の失態まで引き起こしていた。

CDプロジェクトは、ゲームのレビュー記事を書くジャーナリストらに秘密保持契約書にサインさせ、同社から提供された画像やプレイ中映像のみを使用することを強制して、ゲームの問題点を隠蔽していたと非難された。また、ブルームバーグの記者は、同社が従業員に週6日の長時間労働を強制するなど、過酷な労働条件を問題視していた。

CDプロジェクトの株価は2月9日に4.1%下落した。同社の株価は昨年8月末にここ数年の最高値を記録したが、それ以降に40%近い下落となり、共同創業者らの保有資産は数億ドル分の減少となった。

編集=上田裕資

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