少子高齢化に全く歯止めがかからず、社会保障制度がひっ迫の一途を辿る日本において、本来、このような女子学生は日本社会が大切にすべきではないのでしょうか。
優秀な女性が海外にどんどん流出してしまう状況を、頭脳流出だけでなく、「エストロゲン(女性ホルモンの一種)流出」と揶揄する海外の社会人類学者もいます。要するに、日本人女性が日本社会に根強くはびこる女性蔑視に愛想を尽かし、日本国外で自分の能力を十分に発揮できる仕事に就き、海外で外国人男性と家族をもち、仕事も家庭生活も楽しく充実した人生を送る、という状況を指すようです。
日本人女性たちには、世界中のマーケットが公私ともども両手を広げて待っています。実際、国際機関の空席公募や海外の大学の教員公募では、「女性やマイノリティの候補者を優先します」と強調してあるのが既に定型となっています。
逆に困るのは、いつまでも男性ばかりの会議を繰り返し、ことあるごとに女性達に「オンナは黙っていろ」というメッセージを発し続け、高学歴・高収入の女性を海外に追いやり、日本国内の少子高齢化と社会保障制度の危機をますます悪化させる社会です。もし日本の未来に少しでも不安があるなら、今この瞬間から自分の周りで起きている数々の有形無形の差別に少しずつでも小さくても良いから行動を起こすべきなのです。
もちろん「女性の権利」とか「何が正しい」のかという議論も大事です。同時に、将来の日本社会にとって本当の意味で何が必要なのか、自分の老後にとって「何が得なのか」という視点に基づく具体的な行動も、求められているのではないでしょうか。他人の価値観や行動を変えることはできません、でも自らの言動を変えることは今日からできるはずです。
まずは、今日明日の会議をいつもと違った視点で見てみてください。多様性は保たれていますか。女性だからって一番に発言するのを戸惑っていませんか。男性に対して、女性に対して、本当に平等な態度で接しているでしょうか。そこから日本の未来を変えることができるのです。