この新興産業をいち早く支援した企業などは、持続可能な食品に対する需要が成長を続けていることから、この分野に大きな可能性を見いだしている。非営利団体の国際食品情報協議会(IFIC)が米国で実施した2019年の調査では、消費者の半数以上が、持続可能な食品を求めていると回答した。
また、プロフェッショナルサービス会社GHDが2020年11月に公開した1000人を対象とした調査結果によれば、英国人の5人に3人は、環境志向的な食品をもっと購入したいと考えているという。
2020年には、植物由来の代替肉を手がけるインポッシブル・フーズなどの企業が成功し、農業セクターにおけるカーボンフットプリント削減に向けた期待が高まった。食品業界は、世界の温室効果ガス排出量の4分の1を占めている。
将来的には、アメリカミズアブの幼虫を商業施設で飼育することにより、環境負荷をさらに軽減できるかもしれない。従来なら埋め立て地行きになっていた大量の食品廃棄物や人間の食べ残しを食べ尽くしてくれるからだ。
国連によれば、毎年、人間用に生産される全食品量のおよそ3分の1にあたる13億トンが、無駄になるか、廃棄されているという。最終的に埋め立て地に送られた廃棄物の多くは、自然に生物分解されず、二酸化炭素と比べて数十倍強力な温室効果ガスであるメタンを排出することになる。
それほど多くの食品が埋め立て地行きになるのは、ひとつには、ほかに手ごろな代替策が存在しないからだ。とりわけ、堆肥にできない廃棄物の場合は選択肢がない状態だ。