もう一棟の工場に移動すると、出荷するガラスに合わせてダンボールを自動でカットする機械を見学。従業員が、切り出されたばかりのダンボールを折り目に沿って組み立てて、ガラスを慣れた手つきでテキパキと包み込むと、参加者からは「かっこいい」と思わず声が漏れた。何気ない場面だが、ここがこの会社の肝となっていた。
1978年創業のコダマガラス。主に、店舗の内装やショーウィンドウなどに使われるガラスを業者から受注後、切断・加工から施工までを一貫して行う。強化ガラスからアンティーク調の直輸入の装飾ガラスまで、商材は幅広く対応できるのも強みだ。上記のように、カットから、梱包をも自ら行うことでリードタイムを短くし、最短で納品できるという。
「ファクトリズムって、何すんねやろ?」
従業員に混じって、社長も控え目に現場にいたので話を聞いてみることにした。児玉雄司社長だ。27歳のころに先代から受け継ぎ、現在45歳だという。まず、なぜこのオープンファクトリーに参加しようと思ったのか。尋ねてみると、どんなイベントなのか不思議に思っていたのは、私だけではなかったと分かった。
コダマガラスの児玉雄司社長
「ファクトリズムって言われても、何すんねやろ?と思ってました。でも松尾さんにぜひって強く勧めていただいたんで、社員に企画を任せてみました。そしたら思った以上に社内で盛り上がって、おかげで活気づきましたよ」
工場見学だけでなく、敷地内には「強化ガラスや網入りガラス」など身近にある4種類のガラスを並べてハンマーで叩いてみるというコーナーや、ガラスのクリスマスオーナメントを手作りするワークショップなども準備されていた。社員総出で手作り感があり、まさに文化祭の雰囲気だ。
ついでに最初に目に飛び込んできた工場を覆うピンク色のテント倉庫について尋ねてみると、児玉社長は苦笑いしながらこう答えた。
「ああ、あれね、私のこだわりです。もともと青や黄色でレゴみたいな建物を増築したので、テント倉庫もインパクトあるのがええなと思って、オールピンクで目立つようにしたんです。すると思った以上にピンクが強くて、工場内にまで光が入って、視界がピンクになってしまった」
この後も、私は「クセ」の強いアトツギ社長の面々と出会うことになる。次は、インテリア・DIY商材の製造販売を手がける友安製作所へ。先代はカーテンフックを手がけていたが、友安啓則社長が「勝手に始めた」というインテリアの内装が今では事業の96%を占める。そんな説明をしながら「僕、賢いんやと思う」とジョークを飛ばす。
友安製作所の工場内を案内する友安啓則社長(右)
工場に入ってすぐの場所は、内装の壁紙のショールームになっているが、2階に上がるとガチャガチャと機械が音を立てて動く、昔ながらの工場になっていた。好きな天板を挟むだけで立派な机になるアイアンレッグは、鉄やステンレス、アルミを溶接し、粉で焼き付け塗装をすることで強度を高める。現社長より1世代上の職人たちが手を動かしていた。中には、先代の姿もあり、真鍮の削り出し作業をしていた。
鉄やステンレス、アルミを溶接する職人がいる