ドナヒューは議会に対し、道路や橋梁、重要なネットワークの現代化、ブロードバンドなどの技術の更新および拡張といった喫緊のニーズに焦点を絞った、財政的にも環境的にも責任あるインフラ政策パッケージの策定を求めた。
「できるはずだ──そしてそれにより、そのほかの優先事項に関しても、超党派での前進を促す善意を構築できるかもしれない」と、長きにわたって会頭職を務めるドナヒューは訴えた。
ドナヒューが議会に実施を迫っている優先事項のひとつが、失業者たちに需要の高いスキルを習得させることにより、新たなセクターや業界と結びつけるための職業訓練プログラムへの迅速な出資だ。
「医療や金融、専門的サービスなどの報酬の高いセクターのなかには、求人数が、応募可能な労働者の数を上回っているところもある」とドナヒューは指摘した。
ドナヒューはさらに、教育や雇用、起業、刑事司法システムにおける構造的格差の是正に「正面から取り組む」ことも求めた。
また、トランプ政権による規制緩和が経済に与えた好影響にそれとなく触れつつ、過剰な規制への逆戻りは防がなければならないと述べた。
その一方でトランプ政権の政策を批判し、関税を撤廃するべきだとも語った。米国の製造業者や農業従事者を苦しめ、米国の企業やその顧客が負担のしわ寄せを被っているというのがその理由だ。
規制当局に対しては、科学技術を柔軟に受け入れるよう促した。
ドナヒューは1月6日の連邦議会襲撃について、次のように話した。「はっきり言わせてほしい──わが国の民主主義に暴力の居場所はない……その暴力がどこから生まれ、誰が実行し、何が動機になったかは関係ない」
ドナヒューの演説の直後におこなわれた記者会見で、商工会議所のニール・ブラッドリー(Neil Bradley)最高政策責任者は、上院と下院の一部の議員が暴動の際にとった行動について、商工会議所のPAC(政治資金団体)による支援を剥奪されてしかるべきものだと述べた。
また、ブラッドリーは最低賃金に関して、15ドルに引き上げれば、米国が必要とする雇用の多くが崩壊すると主張した。
「15ドルはまったく現実的ではない」とブラッドリーは述べ、その数字の動機は政治的なものであり、経済的なものではないと訴えた。
低所得者を救済するのなら、勤労所得税額控除(EITC)をはじめ、議会がとれる策はほかにもあるとブラッドリーは述べた。
ブラッドリーによれば、商工会議所は連邦政府の社会保障制度の財政悪化に関して、超党派的な解決策を要求していくつもりだという。
「我々が、ソーシャルセキュリティとメディケアの破綻への取り組みを余儀なくされるであろうことは疑いようがない」とブラッドリーは断言した。
ブラッドリーは、考えられる超党派アプローチのひとつとして、ソーシャルセキュリティ委員会の設置を挙げた。
パンデミック渦中での失業率の上昇により、ソーシャルセキュリティ信託基金の積立金が枯渇する予想時期が早まっている。積立金が枯渇したら、本来の給付額の4分の3程度の給付しか受けられなくなる可能性がある。