ここ数週間、TikTokでは、これらの魅力的でメランコリックな歌がメインストリームに浮上し、多くのユーザーが19世紀のニュージーランドの船員たちの労働歌「ウェルマン(Wellerman)」をハミングしている。
2021 is the year of the sea shanty pic.twitter.com/ohOAGvkbtC
— Tim - Poster of Hugo Pics (@Beertheist) January 11, 2021
CNETの1月12日の記事によると、#seashantyのハッシュタグがつけられた動画の再生回数は6900万件を突破し、グーグルトレンドも"sea shanties"というワードの検索回数が過去最多に達したとツイートした。
「ウェルマン」の歌詞は、過酷な肉体労働に明け暮れる船乗りたちが、酒を積んだ補給船を心待ちにしていることを描いている。この歌のメロディには、意外なキャッチーさがあることが認知されると、各国のユーザーがTikTokのデュエット機能を用いて、自分の声を重ねてアップロードするようになり、ShantyTok(シャンティーTok)と呼ばれるトレンドが発生した。
SeaShantyTok keeps getting better pic.twitter.com/yWLEHzlPlB
— Peter Fries (@Peter_Fries) January 8, 2021
さらに別のユーザーは、楽器の演奏やデジタルツールで加工したボーカルをコーラスに加えた。EDM風のアレンジを施したバージョンも人気となり、19世紀の船乗りの歌が全く新しい曲として現代によみがえった。
#Seashantytiktok the gift that keeps giving #Wellerman pic.twitter.com/hcjuK9BI3u
— snuggle opportunity (@pulegon) January 10, 2021
このトレンドは、TikTokというプラットフォームが、古めかしい歌に無限の命を与えたようにも思える。船乗りたちは日々の過酷な労働を忘れるためにシー・シャンティを歌ったとされるが、現代のTikTokユーザーたちは家に閉じこもり、自分自身を表現するツールを探している間に、この歌に出会ったのだ。
この動きは、TikTokのポジティブな側面を示している。他のすべてのSNSプラットフォームが、様々な議論によって停滞に陥った一方で、TikTokは信じ難いほどの量のクリエイティブなコラボレーションを生み出している。
Varietyの1月11日の記事によると、TikTok上のユーザーたちのコラボからは、ミュージカルの「ラタトゥイユ(Ratatouille)」が生まれ、190万ドル(約19億7000万円)の資金を調達している。シー・シャンティの人気がいつまで続くかは定かではないが、パンデミック後の不安な時期に生まれたポジティブなトレンドの一つであることは間違いない。