いま「キノコ」がすごい グリーンな建築、ファッション、食の原料に

未来はキノコが活躍?(Photo by Unsplash)


2014年には、米エコバティブ・デザイン社が作った菌糸体ベースのレンガが、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の若手建築家プログラム2014で受賞した、堆肥化可能なタワーに使用されたことで話題になりました。

一方、米レッドハウス・スタジオは、廃墟となった家屋をリサイクルできるとコメントしています。建物を取り壊し、その廃材を菌糸体と混合させて新しい建材を作るのです。このリサイクル手法を活用すれば、移動可能な「バイオサイクラー」を使用し、災害時に仮設住宅を作ることもできます。


菌糸体を利用して代替皮製品を開発した米マイコワークス社

2. 持続可能な衣料品


多くの衣料品メーカーが、皮革や化学繊維に代わる、グリーンな代替素材を開発するため、菌糸体の利用に注目しています。世界の環境汚染産業の首位に立つファッション業界の二酸化炭素排出量を削減する上で、菌糸体による代替素材が重要な役割を果たす可能性があります。

その一例は、米マイコワークス社の皮革代替品である「レイシ」です。レイシは、ニューヨーク・ファッション・ウイークで発表され、ヴォーグ誌に「まさに超自然的なアイデアだ」と称賛されました。

また、米ボルトスレッズ社は、菌糸体ベースの代替素材「マイロ」を開発。アディダスやステラ マッカートニーなどの世界的なファッションブランドと契約を結び、「マイロ」を靴、衣料品、アクセサリーなどの製品に使用しています。

3. 堆肥化可能な梱包材


菌糸体を使用して、100%生分解可能な標準梱包材やカスタム成形の梱包材を作ることができます。これは、プラスチックやポリスチレンへの依存度の低下につながります。米マッシュルーム・パッケージング社は、ヘンプハードと菌糸体を使用して、耐水断熱ソリューションを作っています。このソリューションは、土に混ぜると、30日以内に堆肥になります。

スウェーデンの大手家具メーカーイケアと、コンピューターメーカーのデルは、すでに菌糸体ベースの梱包材の使用に取り組んでいますが、ノンアルコールスピリッツメーカーの英シードリップ社などの中小企業も、この潮流に乗っています。
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文=Natalie Marchant, Writer, Formative Content

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