キャリア・教育

2021.01.05 12:00

2020年にスキャンダルに見舞われたビリオネア7人

Photo by Spencer Platt/Getty Images

異例の年となった2020年、世界のビリオネアのなかには、さらに人生最大ともいえるスキャンダルにも直面した人たちがいる。脱税や不正会計の疑いがあある、権力争いに巻き込まれた可能性があるなど、フォーブスが特に注目した7人の醜聞やトラブルを紹介する。

ドナルド・トランプ米大統領──納税問題で負債が急増?


米紙ニューヨーク・タイムズは昨年9月、トランプの確定申告に関する情報を入手。その驚くべき内容を公開した。そのうち最もあり得ないことと考えられるのは、2016年と2017年にトランプが納めた連邦所得税が、わずか750ドル(約7万7000円)だったということだ。

さらに、トランプは事業で巨額の損失を出したとして、それ以前のおよそ20年間、連邦所得税をまったく納めていなかった。記事の掲載を受け、一族が運営するトランプ・オーガニゼーションは、公表された内容は大半が不正確であり、トランプは個人として何百万ドルもの連邦税を納めてきたと主張している。

トランプは、内国歳入庁(IRS)から約7300万ドルの還付を受けていたことについて監査を受けており、今年明らかにされる結果によっては、還付された金額に利子と罰金を加え、1億ドルの納付を求められる可能性がある。

トランプがそのほか総額9億ドルにのぼる負債を抱えていることは、すでに伝えられているとおりだ。

ロバート・F・スミス──巨額脱税で篤志家の信用が失墜


米国で最も裕福な黒人男性、投資会社ビスタ・エクイティ・パートナーズの最高経営責任者(CEO)であるスミスは2019年、モアハウス大学の同年の卒業生が抱える学生ローンの返済を全額肩代わりすると約束したことで知られる。

だが、そのスミスは昨年10月、長年にわたって所得を隠し、税金を逃れるための違法行為を続けていたことを告白。多くの人たちの信頼を失った。

連邦当局は同月、スミスがオフショア口座に2億ドルを保有し、2000年から15年間にわたり脱税していたことを認めたと公表。スミスは司法省との不起訴合意に署名し、史上最高額となる1億3900万ドルの罰金をIRSに支払った。スミスはまた、ほかの富豪の脱税に関する捜査に協力している。

ラッキンコーヒーCOO──不正会計で米SECに和解金


スターバックスを超えるコーヒーチェーンになることを目標に掲げ、中国のラッキンコーヒーは2019年5月、米ナスダックに上場した。

その同社は2020年4月、内部調査の結果、劉剣・最高執行責任者(COO)と部下の数人が売上高を約3億1000万ドル(約320億円)水増ししていたことが判明したと発表。12月には、米証券取引委員会(SEC)に和解金(制裁金)1億8000万ドルを支払うことで合意した。

だが、同社はSECが指摘した問題を認めることも否定することもなく、この件で起訴された人は誰もいない。

米投資会社アポロ創業者──性犯罪で有罪・自殺の富豪と関与


米紙ニューヨーク・タイムズは10月、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメント創業者でビリオネアのレオン・ブラックが2012~2017年、性犯罪で起訴され、勾留中に死亡したジェフリー・エプスタイン元被告に約5000万ドルを支払っていたと報じた。

パーソナルファイナンスに関するアドバイスを受けており、その料金として支払ったものだというが、注目されるのは「時期」だ。エプスタインが未成年者の売春をあっせんしたとして、フロリダ州で有罪判決を受けたのは2008年。ブラックはその後に、エプスタインと関わっていたことになる。

ブラックは2019年、エプスタインが逮捕されるとすぐに、アポロとの取引はないと明言。エプスタインが組織的に、未成年の女性に対する性的搾取を行っていたことは「知らなかった」と説明している(エプスタインは同年8月、勾留されていたマンハッタンの刑務所で自殺)。
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編集=木内涼子

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