社会環境が大きく変わったとき、好事例となって世の中をリードできる組織。12月25日(金)発売号では、そんなロックダウン時代を象徴する賢者たちを一挙公開。なぜ彼らは現状を打破し、未来の扉をこじ開けることができたのか。その法則を解き明かす。
希望のモデルを見つけよう
人の営みが数珠つなぎだと思わせる例は多い。
例えば1908年、ニュージャージー州の医師が市の貯水槽に塩素剤を入れた。飲料水を薬品で消毒する概念がなかった時代、彼の行動は物議を醸した。だが、腸チフス感染などによる幼児死亡率は、その後の30年間で74%も低下。さらに全米中に公営プールが誕生し、女性の水着は新たなファッション産業を興した(S・ジョンソン著『世界をつくった6つの革命の物語』に詳しい)。予想しない未来をつくるのは、誰かが必死な思いで扉を開く行為から始まるのだ。
経済活動が停滞した2020年、私たちは数珠つなぎを生む事例を探して、それを4つに分類した。
「ニーズの先読み」「新しい売り方」「幸運を呼ぶ備え」「正しさの追求」
当たり前のことと思うだろうが、この常識を誰もが真剣に考えた年は他にないだろう。特集で取り上げた人々は、何かを機に知恵を絞って工夫をした者たちだ。
賢い知恵で開いた扉から別の誰かが何かを学び取るだろう。パンデミックが連鎖なら、希望をもたらすモデルも連鎖する。未来をつくるのは、誰かが必死な思いで扉を開く行為から始まるのだ。未来とは、人の心を動かすモデルを身近なところで見つけることからスタートするのだ。
1:ニーズの先読み(Demand forecast)
社会は絶えず変化し、人々の求めるものも変わる。未来を切り拓く一つのヒントは、将来の需要を見据え、他者に先駆けて、そのニーズを満たすビジネスを展開することだ。
ネットフリックスCEO リード・ヘイスティングス
ハリウッドの未来を書き変えた「人の心を動かすチーム」
2:新しい売り方(Creative sales)
航空、観光、飲食など、パンデミックで壊滅的なダメージを受けた産業は少なくない。既存のビジネスモデルが通用しなくなったときに必要なのは、新しい売り方の創造だ。
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