ペイパルは毎年恒例の行事として、世界60カ所以上の拠点でそれぞれ異なるホリデーパーティーを開催してきた。その内容は、各自が料理を持ち寄るカジュアルなポットラックパーティーから、生演奏付きのフォーマルなディナーまでさまざまだ。しかし新型コロナウイルスの流行により、人が集まるイベントが不可能となったため、同社も方針転換を強いられた。
ペイパルの従業員らは今年、没入型のバーチャル体験に参加し、仮想空間のロビーを歩き回ったり、ダンスフロアへと進んだり、料理や折り紙の教室やステージでのライブパフォーマンスやマジックショーなどを楽しんだりすることになる。
同社の従業員エンゲージメント責任者、ジェネッサ・ナンニーニは「私たちは普段、互いのパーティーへ顔を出すことができない。これはその壁を取り払うチャンスだと捉えることにした」と説明。「『インドのパーティーに呼ばれた』とか、『スウェーデンに招待された』なんて、滅多に言えないでしょう?」と語った。
転職支援や企業幹部向けコーチングサービスを提供するチャレンジャー・グレイ・クリスマスが10月、189人の人事担当者を対象に実施したアンケート調査によると、年末のパーティーを予定している企業はわずか23%で、前年の76%から大きく減少。ただし開催されるパーティーの内、コロナ対策なしに従来通り行うものは1.3%、オンラインでのバーチャルパーティーは74%だった。
多くのリモートワーカーにとって、またしても全社規模のビデオ通話に参加することは気が進まないかもしれないが、多くの組織がペイパルのような前代未聞のバーチャルパーティーを予定している。
例えば、ニューヨークの広告代理店ルーニーパートナーズでは毎年、ミッドタウンの高級レストランに従業員とそのパートナーを招き、エレガントなディナーパーティーを開催してきたが、今年のホリデーパーティーは、マイクロソフト・チームズを使ったバーチャル形式に切り替えた。
創業者のテリー・ルーニーによると、従来5時間のパーティーを今年は1時間半程度に短縮。さらに地元ワイン業者に依頼して、クリュッグのシャンパンを正しい冷やし方と保存方法を付けて各従業員の自宅へ配達する。お酒を飲まない従業員には、シャンパンの代わりにスパークリングジュースを手配した。当日は例年と同様に全員が赤色の服を着て参加し、最後は従業員の歌や詩の朗読で締めくくる予定だという。
「できるところは継続することが私にとっては重要」とルーニーは語る。「できるだけ人と交流する機会を設ければ、孤独を感じることもなくなる」