この数は、2018年の約1億6580万人よりは多いが、2019年(1億8960万人)と比べて若干減っている。オンラインでの買い物に移行した人は44%だった。
さらに全般的には、一人あたりの支出額が大幅に減った。2019年には平均支出額が362ドルだったが、2020年には312ドルとなったのだ。
小売店は、こうした情報を踏まえて年末商戦の計画を練ることができる。
一方で、支出データの内訳を見れば、消費者の行動が微妙に変化していることがわかるだろう。それをもとに、買い物客が小売店に期待する体験が、2021年にどのように変化するのかを予測できるかもしれない。そして、こちらの変化はそれほど微妙なものではない。
感謝祭当日からの5日間について、買い物客に見られた大きな傾向を総括する数字を精査してみると、あまり知られていない動きが4つ浮かび上がってくる。こうした動きは、以下に述べるような消費者と小売業の大きな変化へとつながっていくかもしれない。
1つめは、デリバリーが小売体験の新たな差別要因になりうることだ。
アマゾンは、倉庫と配送システムを拡充し、注文増への対応強化を図った。ウォール街のトゥルーイスト・セキュリティーズ(Truist Securities)によると、年末のホリデーシーズンには、消費者が支出する金額の1ドルにつき42セントが、アマゾンでの買い物になる見通しだという。2019年は、1ドルにつき36セントがアマゾンでの買い物だった。
一部の大手小売店が今回いやというほど思い知らされたことなのだが、商品を購入者のもとに届けるための車両を確保するだけでなく、商品を保管する倉庫を確保することも重要だ。今年のサイバーマンデーに米貨物輸送大手UPSは、配送ドライバーに対して、ナイキや百貨店メイシーズなどからの集荷を停止するよう指示を出した。UPSがそれら小売店に割り当てていた配送容量が埋まってしまったためだという。
代替できるデリバリー手段を見つけ、配送コストをより綿密に精査すべき時期が到来しているということだろう。アマゾンはすでに今後を見据え、2020年8月に米連邦航空局(FAA)からドローン配送の認可を取得している。