そんな上司の期待に早く応えたい、と思うのが自然でしょう。しかし転職まもない私が意識したのは「結果を出すことや評価を得ることに焦らない」ということでした。
自分自身がマネージャーとして新メンバーを受け入れる側だった頃、部下が短期間で結果を出すことを求めてはいませんでした。それよりも、一つずつじっくり積み重ねていく中で主力メンバーになっていけばいい、そんな気持ちを思い出しながら逆の立場で新しい仕事に臨みましたね。
一方、当時の私について少し恥ずかしさを覚えることもあります。それは関係部署の人に対して「なんで出来ていないの?」「ちゃんと相談してください」という強いトーンで話してしまっていたこと。
それに対して、まず「ありがとうございます」と返して来てくれる関係部署のメンバーにハッとさせられました。なぜ私は戦闘モードになっているんだろう、と。
入社後、アサインされたM&Aプロジェクトは特に関係者とのコミュニケーションが濃密で。そのやりとりのなかで他者をリスペクトする精神をもつのと比例して、自分が武装解除されていくのを感じました。
周りにいるのは同じ目標に向かう仲間だ、という共通認識をもったチームでの仕事のやりがいはかけがえのないものだと知ることができました。
大きな気づきを得て入社3ヶ月が経った頃に、会社カルチャー体現している人へ贈られる「Culture Hero」を受賞して。“頑張っているアピール”をしなくてもちゃんと見てくれている人がいる、と嬉しかったのを覚えています。そんな安心感があるからこそ、立場に関係なくフラットに議論を尽くす関係を築けているんだと思います。
M&Aを担当したチームでMVPを受賞した。右から4人目が村井さん
苦しみを生んでいた「理想」から解放されて
もう一つ、私が変わったなと思う点。それは自分がどう見られているか、について手放せたこと。
前職では、肩肘を張っていたように思います。「この年次であればマネージャーをやるべき」「チームのアウトプットの品質を上げなきゃ」「メンバーを成長させなきゃ」と理想のマネージャー像を勝手に描いては、それができなくてもがいていました。
今思えば、私に誰もそんな期待を抱いてなかったとわかります。ただ、席が空いてしまったから、座るチャンスをもらっただけ。誰が管理職に抜擢されるのかは状況次第。評価や人員配置は水物だと思うようになりました。
だったら誰かと比べることは無意味ですし、そんなもんだよね、と考えられるようになったのです。
この身軽になった感覚は、いつかまた管理職としての仕事が与えられたとしても持っていようと決めています。とはいえ、これからの自身のキャリア路線はあえて考えないようにしていて。1ヶ月後に法務の仕事を続けている確証さえありません。
「いつか誰かの右腕になれるように」
そのために今は法務という強みをさらに伸ばしつつ、他の分野にもチャレンジしたいと思っています。新しい気付きが多い環境に身を置く。その積み重ねを振り返った時に、私だけの道ができていたらいいですね。
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