取引先から送られてくる「請求書」を扱う経理部門の社員も、その1つだ。
請求書受託サービスを手掛けるスタートアップのベアテイルが、緊急事態宣言中に、中堅企業を中心とした135社の経理担当者に調査を行なったところ、会社としてのテレワーク実施率(一部部署での実施も含む)は70%であったにもかかわらず、経理部におけるテレワーク実施率は22%にとどまっている。
ベアテイル代表の黒﨑賢一は、「新型コロナウイルスの1日の感染者数が国内で過去最多となり、年の瀬に向け深刻な不況も懸念されるいまこそ、企業は経理部門の改革に真っ先に取り組む必要がある」と語る。
これを単なるバックオフィスの問題として侮ってはいけない。コロナ禍での「請求書」の問題は、最悪の場合には倒産にもつながる危険性を秘めているというのだ。
エッセンシャルワーカーとしての経理
東京都が都内の従業員30人以上の企業1万社に対して行なった「テレワークの導入に関する実態調査」によれば、コロナ禍でのテレワーク導入率は57.8%であり、昨年の25.1%に比べて大きく上昇した。今年は大企業を中心に、テレワークを中心としたリモートワークが急激に浸透し、営業部門や管理部門などの人たちは、会議や商談を出社せずに行うことも珍しくなくなった。
そんななかで、多くの企業の経理担当者が、感染リスクを冒しながら出社を余儀なくされている現状がある。経理担当者の業務は、一見すると在宅でも可能だと思われがちだが、取引先から会社に届けられる「紙の請求書」の存在が、リモートワークを阻害する要因となっている。
ベアテイルのCFOである堀地良佑も、私たちの日々の生活を維持するために現場で働き続けなければならない人々という意味で、経理部門は会社の中での「エッセンシャルワーカー」だと語る。