「ここ数カ月の業績は2019年の実績を上回る」と同社のアジア太平洋部門CEOを務めるギリアーノ・メナッシは話す。彼が取材に応じたのは、11月22日に上海で開催されたデザイン関連のイベント「イタリアン・デザイン・アイコン」の会場だった。
ピレリの他にマセラティや高級車の内装を手がけるポルトローナなどが出展した催しには、1日に3000人以上がつめかけ、現地の景気回復の力強さを印象づけた。
中国の国家統計局が10月に発表した今年第3四半期のGDPは、前年同期比で4.9%のプラスだった。中国のGDPは、今年第1四半期に前年同期比6.8%のマイナスに落ち込んだが、第2四半期には3.2%のプラスに回復していた。
中国では自動車の売上も急回復しており、10月の新車販売台数は前年比12.5%増の260万台だった。
ピレリは、発行株式の30%以上を中国国営のケムチャイナ(中国化工集団)が保有する中国資本の会社であり、現地での需要の急回復の恩恵を受けている。同社の中国での顧客には、VWやアウディ、BMW、Geely(吉利)、Nioなどが含まれている。
「当社は今後も中国での研究開発や投資に注力していく」とメナッシは話した。
パンデミックの影響で欧州の事業が打撃を受ける中、中国の経済回復は、ピレリの事業全体を支えるのに役立っている。同社は今月初めの声明で「2020年の市場見通しは、APAC地域や北米では回復が見込めるが、欧州では感染の再拡大によって厳しい状況になりそうだ」と述べていた。
ピレリは世界全体の売上の約20%を中国市場から得ており、現地で約4000人を雇用している。