そこで、「1回の回答でどれだけお客様の問題解決ができたか」をKPIに設定し、数値の変化を追いかけていく、というやり方がとれるのです。
ここでKPIの数値が改善されなければ、必ず仕組み上の問題があるので、分析しなくてはなりません。担当者の回答の仕方が悪いのか。そもそも答えた内容が間違っているのか、というように。
また「荷物が届かない」というクレームに対して「今、在庫調達を図っていますので、もうしばらくお待ちください」と答えれば、「あとどれだけ時間がかかるのか」と再び問い合わせがくるかもしれません。ここで「配送業者の元にあるので数日中に届くはずですから、しばらくお待ちください」と答えていれば、それで納得して終わる可能性があります。
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あるいは、「今調達中で少し時間がかかりますが、こんな代替商品もあるので、併せてご検討いただけますか」と案内すれば、別の方法で相手が最終的に求めるゴールに到達できることも考えられます。
こうした仮説を立てて、実際にその対策を導入し、それで数字が良くなるかどうかを検証し、成果が出る施策であれば導入していきます。
なお、アマゾンではこのように数字で定量的に評価するアプローチを活用していますが、だからといって、定性的な評価を全否定しているわけではありません。人事評価の際には、数字では表せない要素もあります。たとえば、「あなたの人柄指数は85です」と言われても、どこをどう改善すべきか、困ってしまいます。
必要に応じて、定性的な評価も織り交ぜながら使うことが大切です。
米海兵隊の被災地からの撤収基準が「洗濯物の数」である理由
以前、読んだ本にアメリカの海兵隊の話が載っていて「こんなものにもKPIはあるのか」と感心したことがあるので、ここでご紹介します。
アメリカの海兵隊はハリケーンなどの災害地に最初に入り、物資の供給やインフラ整備を担当します。彼らは常駐するわけではなく、復旧が終われば帰っていきます。そこで撤収できる状態になったかどうかを判断するために、KPIを設けているのです。
たとえば、ハリケーン被災地から撤収する基準の1つが、干してある洗濯物の数。非常にシンプルですが、洗濯物はすなわち洗濯機を動かすために電気と水道が使える証拠となるのです。そして電気と水が通っていれば、確かに日常生活は成り立ちます。
ビジネスでもそれと同じような考え方で、様々な指標を考え、採用することをおすすめします。