・テクノロジーハブは、さまざまな分野からの専門知識のコラボレーションによって、独自のイノベーションを実現しています。
・これまでテクノロジーハブでは、天然資源の保護や持続可能性の実現など、収益が見込めない長期的な地球規模課題の解決に、必ずしも積極的に取り組んできませんでした。
・プラスチック廃棄物を削減し、サーキュラー・エコノミーを実現するスケーラブルなソリューションの提供を目的としたハブなら、ビジネスの収益性と持続可能性を両立させることができます。
新型コロナウイルスの感染拡大で既成概念が崩壊すると、世界のシステムは新しい視点で変化するようになりました。かつては変化が遅いと言われていた産業界も、急速に新しいソリューションを導入。デジタル分野の変革者たちは、新しいパートナーとの新たなコラボレーションを模索しています。
革新的な思考を導入せざるを得なくなった今日の世界は、天然資源への負担を減らして製品を長く使えるようにするサーキュラー・エコノミーの考え方のように、社会の課題に取り組むためのまたとないチャンス得ているとも言えます。
テクノロジーハブの分散と連帯を
コラボレーションは、イノベーションの中でも目に見えない要素です。結局のところ、過去50年の間に私たちの生活を変えてきたイノベーションの多くは、シリコンバレー、東京、テルアビブなどの限定されたテクノロジーハブによるもので、変革の担い手がテクノロジーの専門知識、起業家的思考、投資資本と結び付くことで生まれたものです。
しかし、これらのテクノロジーハブは、単なる地図上の「点」ではありません。それは、アイデアや批判的精神を共有する人たちが分野を超えて協力し合い、今日の世界が抱える大きな問題に取り組む、血の通ったコミュニティなのです。
テクノロジーハブは、ビジネスリーダー、政策立案者、研究者をつなぐもので、本来どこにあってもいいはずです。しかし、近年は、一部の拠点が資本とイノベーションを独占する傾向にあります。その結果、本当の意味で包摂的に、さまざまな問題に取り組むための貴重な機会を、テクノロジー業界は逃しています。新型コロナウイルスの感染拡大によって明らかになったように、現在の技術的ソリューションは長期的展望に基づくものとは限らず、あらゆるテクノロジーを最大限に活用したものでもありません。
新型コロナウイルス感染拡大の収束後、世界全体で公平に分散された復興を目指すのであれば、さまざま場所でハブを発達させ、持続可能性などの大きな課題に取り組む体制を整える必要があります。
より多くのテクノロジーハブを創出し、発展させるには、地域のイノベーションシステムを丁寧に育て上げていくことが不可欠です。そのためには、政策、資本、グローバルな人材の受け入れのどれもが求められます。また、失敗をサポートしやり直しを認めるという文化も必要です。
スタートから循環性の概念を組み込む
持続可能性のような広範囲に分散した問題に求められるのは、分散したソリューションです。ソリューションの策定を一部の都市に集中させてしまうと、その能力は制限されてしまいます。イノベーションを促進するには、問題に取り組むための環境を世界のあらゆる場所に広げる必要があるのです。
さらに、サーキュラー・イノベーションを活性化させるには、新しい企業の基本構造に「循環性」の概念を組み込み、製品を市場に投入するところから無駄を省き、第四次産業革命技術の新しい使い方を見定めなければいけません。