「ストレスとは、良くも悪くも刺激です。高いと心の負担になりますが、低くても無気力になってしまう。大切なことは、自分のストレス度合いと抵抗力を知り、適切にマネジメントすることなのです」
こう語るのは、大学院在籍時の2019年に滋賀大学初のベンチャー認定企業としてイヴケアを起業した五十棲計だ。イヴケアは髪の毛に含まれるホルモンから、現在のストレスレベルやストレスに対する抵抗力を読み取り、具体的な対処法を含めたフィードバックを提供するサービスを展開している。
五十棲はもともと大平雅子准教授の研究室に在籍していた。毛髪からストレスを測定する技術は大平が一部を独自で開発したもの。「社会に実装していくブースト役になりたい」と五十棲が大平に代わって起業することとなった。大平は役員として、同社の技術面をサポートをしている。
「僕はもともと『いじめ』の研究に携わっていたのですが、いじめは子どもたちのストレスが高い環境下で起こるのではないかと感じていました。子どもたちが自分のストレス度合いやストレス耐性について知り、セルフマネジメントすることができれば、世の中からいじめも減っていく。そう考えています」
今は企業の従業員に対するストレスの統合的な評価とフィードバックをサービスとして提供しているが、最終的には学校教育に関わっていきたいという。
「ストレスをはじめとするWell-beingに関する課題が社会的に解決され、イヴケアがその使命を終えることがゴールです」
いそずみ・けい◎1995年、京都府生まれ。2014年に滋賀大学教育学部に入学。修士課程まで修了。19年に毛髪からストレスを評価しケアを提案するイヴケアを設立。現在は兵庫教育大学博士課程に在籍。