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2020.11.09 07:30

フィンテックのユニコーン「ヒッポ」CEOが語るSPAC上場のメリット

ヒッポのアサフ・ワンドCEO(Getty Images)

シリコンバレー本拠のフィンテック企業「ヒッポ(Hippo)」は、特別買収目的会社(SPAC)を用いた上場を検討中だ。同社は5年前に創業のスタートアップで、住宅保険を提供している。

ヒッポは衛星画像や公共データ、漏水検知器などのスマートホーム機器を利用して、住宅保険の申請プロセスを迅速化し、顧客のメリットを最大化する。同社は今年7月に、15億ドルの評価額で1億5000万ドル(約155億円)の資金調達を実施した。

夏の時点で、年間保険料(annual premiums)は前年比140%増の2億7000万ドル(約280億円)に達しており、2021年に株式を公開する可能性が高いという。

ヒッポのアサフ・ワンドCEOは、伝統的なIPOよりもSPACによる上場が好みだと話す。その理由を彼は「ウォール街の大ファンではないからだ」と述べている。ワンドは夏の間に8つの異なるSPACと面談し、合併相手を検討している。

SPACを用いた上場は、伝統的なIPOが通常半年もかかるのに比べ、8週間程度で可能であり、時間を大幅に短縮できるのがメリットだ。

SPACは、独自の事業を持たない空箱の企業(いわゆるペーパーカンパニー)で、上場時には事業の実体を持たず、将来的に有望な会社と合併や買収を行うことを目的に設立される。外部の投資家はSPACの選別眼のみを信じて資金を託すため、「ブランクチェック(白紙の小切手)」とも呼ばれている。

関係筋によると、ここ最近はあらゆるユニコーンがSPACからアプローチを受けているという。9月には不動産分野のフィンテックの「オープンドア(Opendoor)」が、フェイスブックの初期取締役を務めた投資家のチャマス・パリハピティヤが率いるSPACを通じて株式公開することを発表した。

SPAC上場においても、伝統的なIPOでも、企業は機関投資家に可能な限り高い評価額を提示して事業を売り込む必要があるが、ワンドによるとSPACの場合は、自社のストーリーを売り込む上での柔軟性を保てるという。
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編集=上田裕資

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