デジタルノマドの人気はパンデミック前から上がり、自身をデジタルノマドとみなす米国人は500万人近くに上っていた。だがそうした人々の状況は、国境が封鎖され、ビザ(査証)の取得が困難になったことで複雑化したことは間違いない。
バルバドスは、新型コロナウイルスを受けたデジタルノマド誘致の取り組みとして、遠隔勤務をしながら最大1年間同国に滞在できる「バルバドス・ウェルカム・スタンプ」プログラムを開始して話題を呼んだ。背景には、検査と隔離措置に非常に多くの時間がかかるため、短期滞在が難しくなったことがある。
南の楽園で勤務
コスタリカの海辺の町サンタテレサにある「コワーキング村」のヨコ・ビレッジは、南国で働く魅力がふんだんに感じられる施設で、社会的かつスピリチュアルで環境に優しい充実した生活を提供することを目指している。
同施設には現在、80のヴィラに72カ国の人々が生活しており、コワーキングセンターや共有の庭、スポーツセンター、ワークショップ、オルターナティブ(代替)学校、スピリチュアルなキッチンなどが整備されていて、海と山両方の景色を楽しめる。
創業者のリラン・ローゼンフェルトは「尋常ではない時期である今、雇用主と従業員の両方が必要とするプロフェッショナルで生産的な労働環境を維持しつつ、エコな生活に対する個人的・精神的ニーズを人々が満たせるような空間を作りたかった」と筆者に語った。
デジタルノマドを受け入れる姿勢は、特に小国家の間で広まりつつある。最近はバミューダ諸島やエストニア、ジョージアがデジタルノマド向けのビザ発給を開始。仕事や休暇だけでなく、国籍そのものの在り方についての再考を促している。
こうした動きは主に、デジタルノマド生活に内在する不安定さによるものだ。パンデミックを受け、多くのデジタルノマドが政府の勧告に従い帰国した。旅行保険などの問題はあるものの、遠隔勤務がかつてなく増えている中、デジタルノマドにも同様のブームが起きるのだろうか?