「私は自分に対して雑に生きていました。ですが、ちゃんと自分にとって何が心地よいのか、余生に何を残していきたいか、もっとわがままに生きて生きたい」と宣言する。
同族企業の承継予定者の新規事業開発支援を手がける「アトツギベンチャー」の取り組みが生涯を賭けてやりたいことのひとつ。全国に中小企業の30歳前後の後継者が多くおり、いまは「若い世代に託していくタイミング」だという。
「50、60代の常識が通用しなくなってくる世の中で、未来をつくっていくために世代交代を思い切って、若い彼らの直感や感覚、行動力を信じて応援していく流れになっていかなくては、革新は生まれません。コロナによって地方回帰が起こっていますが、今後はむしろ地方にチャンスが広がっています。産業界だけでなく政治の世界でも、前を向く若い世代を応援するきっかけになるんじゃないでしょうか」
いま、山野にとっての楽しみは人材育成だという。「若い人が成長していくプロセスを見るのが楽しい。新入社員の2人が成長していく姿が素敵だなと思います。自分が育てる家族はいなくても、家族みたいな仲間がいるので救われましたね」
そしていま、こんなことを思う。
「アトツギベンチャーを日本のカルチャーにしたいと思って取り組んでますが、実現にはまだまだ時間がかかるでしょう。でもせめて、時代が少し変わったと思えるところまで見届けたいですね。お墓に入ってから、このカルチャーが実現した世界を眺めて、ニヤっとしたいです」
きっと仲間ととも育ててきた事業は、誰かが繋いでくれる。そう実感できるところまでもう少し、もう少しと、着実に進んでいくつもりだ。
今では仕事に完全復帰。新たな決意を胸に、進んでいく
山野が率いるベンチャー型事業承継がアドバイザリーボードを務める「スモール・ジャイアンツ アワード2021」は、10月29日に第二ブロック(関西・中国・四国)大会を開催。イベント視聴の申込みはこちらから。