「Stadium Full Screen Browse」と呼ばれるアプリの開発者のザカリー・ノックスは「私のアプリはアップストアから削除されようとしている」とツイートした。
2019年11月に始動した月額課金制のGoogle Stadiaは、通常はグーグルのChromeからアクセスするものだが、ノックスはiPhoneからこのサービスを利用するためのブラウザアプリを開発した。彼は、WebKitを拡張し、開発者フレームワークのGame ControllerやBluetoothコントローラーへとつなぐ手法をとったが、「アップルはこれを気に入らなかったようだ」とノックスは述べている。
アップルは、マイクロソフトやフェイスブック、グーグルらがゲームストリーミングアプリでゲームを配信する際には、それらのゲームを個別にアップストアで公開しなければならないと主張してきた。
つまり、複数のゲームを内蔵したゲームストリーミングアプリの配信は、アップストア上では禁止されているのだ。フェイスブックは「Facebook Gaming」アプリをiOSで公開しようとしたが、これまで5回拒絶されたと報じられている。
ノックスはアプリではなく、ブラウザ経由で複数のゲームを提供することで、アップルの規制を突破しようとしていた。彼のアプリは多くの利用者に支持され、アップルが削除した「フォートナイト」のファンも、「この方法ならフォートナイトを遊べる」とレビュー欄に書き込んでいる。
ただし、奇妙なことにアップルは自社のガイドラインに、この手のアプリを容認するような文言を記載している。同社のガイドライン4.9には、ストリーミングゲームについて、「アップストア以外のすべてのユーザーにリーチするために、オープンなインターネットとウェブブラウザアプリが存在する」と記述している。
ノックスが言うように、彼のアプリが問題視される可能性があるのは、アップルのブラウザの基盤技術であるWebKitをGameControllerフレームワークに接続し、それによってBluetoothを使用しているからだ。
アップルは長年、開発者らに対し公開されているAPIを使用し、彼らが意図した通りに利用することを求めてきた。ガイドライン2.5.1には「外部企業のアプリはAPIやフレームワークを、意図された目的のために使用し、説明文にその旨を記載すべきだ」との記述がある。
ノックスが開発したアプリは現時点ではまだアップストアからダウンロード可能だが、彼はアップルのレビューチームから、何らかの警告を受け取っているのかもしれない。
筆者はノックスとアップル側にコメントを求めている。