CRFBの予測では、バイデンの政策では現在98%の債務対GDP(国内総生産)比は2030年には128%まで高まり、トランプの政策でも125%に上がる。ちなみに、法改正がいっさいなくても109%に上昇するという。
CRFBは「バイデン政権」が誕生した場合、大きな出費が予想される分野として、ヘルスケア(2兆ドル)、インフラなど国内支出(4兆5000億ドル)、社会保障・退職関連(1兆2000億ドル)などを挙げている。一方で、税政策によって4兆3000億ドルの収入が見込まれる。
一方、トランプ政権が続くことになった場合、ヘルスケア分野の支出は1500億ドル減り、インフラなど国内支出は2兆7000億ドル増え、社会保障・退職関連は横ばいとなる見通し。さらに、1兆7000億ドル減税されることになる。
今回の分析では、新型コロナウイルス対策案は除外されている。
米議会予算局(CBO)は9月、米国の2021会計年度の国家債務は、第二次世界大戦後初めて米国経済の規模を上回るとの見通しを明らかにしている。景気刺激のための巨額の財政支出が原因だ。2020年の連邦政府赤字も前年比3倍超の3兆3000億ドルに達すると予想している。
米議会では、追加のコロナウイルス対策をめぐって与野党協議が続けられてきたが、トランプは今週、11月3日の大統領選のあとまで協議を打ち切るよう指示したと唐突に発表し、交渉は大混乱に陥っている。
スティーブン・ムニューシン財務長官は9月、「今は財政赤字の縮小について心配すべき時ではない」と発言した。そのあとで民主党のナンシー・ペロシ下院議長との本格的な交渉が再開している。