「電話越しに怒鳴っている顧客に対応しながら、問題解決に必要な情報を探し回る窓口担当者の認知負荷を想像してみてください」と語るのは、米サンフランシスコに拠点を置く、人工知能(AI)搭載型カスタマーサービス・ソフトウェア開発企業「ASAPP」のグスタヴォ・サポズニックCEO(34)だ。
コールセンターへの問い合わせを音声認識・自然言語処理したASAPPのソフトは、推奨する回答や関連情報を担当者の画面に表示する。これにより、担当者がアプリケーションを切り替える必要性が減るのである。サポズニックは機械学習を利用し、優秀な社員の経験をASAPPのソフトに学習させた。学習したソフトは顧客からの問い合わせに回答し、求める情報にたどり着くための有効な道筋をコールセンターのスタッフに示すのだ。
顧客企業は1時間に解決できる電話の件数を40%から150%以上に増やすことが可能で、その結果、コールセンターのスタッフのストレスと離職率を低下させられるという。
調査会社ピッチブックによると、ASAPPは計2.6億ドルの出資を受けており、直近の時価総額は8億ドルに上る。売上高は推定4000万ドル。航空会社ジェットブルーや通信大手スプリントとの複数年契約が売り上げの柱となっている。