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箱根の山道を風を受けながら疾走するJohn Cooper Works。英国生まれの名車MiniのDNAを受け継いで現代的に生まれ変わったMINIのなかでも、「John Cooper Works」の名を冠したハイパフォーマンスなシリーズだ。ステアリングを握るのは、かつて箱根駅伝を走ったランナー、いまはラントリップ代表取締役の大森英一郎。アスリートとしてのハイライトと挫折を経験し、ビジネスの世界で成功を目指す大森は、この特別なマシンの走りになにを感じたのか。


急なアップダウン、曲がりくねったコーナーが連続する箱根の山道を、The MINI John Cooper Works Convertibleの屋根をオープンにした大森が駆って疾走する。風を切る音、高出力を発生するツインターボエンジンの咆哮。興奮に上気した面持ちの大森英一郎が、ふと冷静につぶやく。

「クルマが自分の思い通りに動くって、こんなに気持ちいいんだ」。


時速30kmまでは走行中でも開閉できるルーフを開けて、箱根を走る。スイッチ一つの電動で、開閉に要する時間はわずか18秒。

数字にとらわれないランニングの楽しみ方を広く伝えるため、2015年に創業したラントリップ。ランナー向けSNSアプリの「Runtrip」、アプリ連動型ファンランイベント「Runtrip via」のほか、ランニングを中心にしたライフタイルマガジンやギアを紹介するストアなどを展開している。このラントリップの創業者であり代表取締役を務めるのが大森英一郎だ。今回大森が試乗しているのは特別なMINIだ。

MINIは、街を軽快に走れるコンパクトな3ドアから、アウトドアでも活用できるSUVまで、さまざまなライフスタイルに適用しながら、個性も主張できる英国生まれの自動車。なかでも「最高峰のMINI」と称されるJohn Cooper Worksは走りの性能を高めた特別なシリーズだ。

1959年に英国で誕生したClassic Miniは、街乗りのために作られた小型のファミリーカーだった。その車を無敵のレースカーに作り変えたのがF1など世界最高峰のレースで実績を重ねてきたエンジニアである、ジョン・クーパーという人物だ。パワフルなエンジンと制動力の高いブレーキ、そしてシャープなハンドリングを得たClassic Miniは1960年代には国際レースで勝ち続けた。そして世界中の人々がMiniという車を知ることになった。

やがて2001年に、MiniがBMW Groupに参画し、MINIと表記を変え新しいスタートを切った。そしてジョン・クーパーの名もまた、最高峰のMINIを象徴するものとして受け継がれることとなる。

はじまりは、逆境だった


かつてレースでの栄光を築き上げたMiniだったが、その歩みのはじめから人々の期待を背負っていた、というわけではない。ファミリーカーをいくら改造しても勝てるわけがない、新聞はそんな論調でMiniの挑戦を冷ややかに見つめていたという。


世界のモータースポーツに衝撃を与えた伝説のエンジニア、ジョン・クーパーのチャレンジング・スピリットと、最高峰のMINIの証として、特別な“John Cooper Works”のエンブレムをオン。

「ジョン・クーパーが不利な状況でも勝てると信じて挑戦を始めたことには、僕はとても共感できるんです。失うものがないから大胆な仮説を立てて挑戦できる。発想の転換は、実は不利な状況において生まれ合理的な判断であるとも言えます」。

そう話す大森は、学生時代には法政大学の4年生として箱根駅伝復路のエース区間である9区を走った箱根ランナーだ。箱根出場の常連である法政大学には、これまでに実績を積み上げ推薦で入学したエリートが集まる。しかし、大森は一般入学からレギュラーの座を勝ち取ったというから驚く。

「箱根を走りたい、そう強く思ったのは1年生の冬でした。でも各学年に強いランナーがゴロゴロいるなかで、自分がいくら努力しても普通に考えたら選ばれるわけがありませんでした」

目標のための逆転の発想


大森は、2年生、3年生を「捨てた」。4年生になったときに出場することを目標に、2年間はあえて遠回りしながら基本を徹底し、しっかりとスキルを磨く。目標から逆算した千日のプランを立ててストイックに実行した。常に好成績をあげることを期待されるスポーツ推薦で入部した選手にはできないこと。大森はそこに勝機を見出し、目標を達成した。

そして、すべてを懸けて勝ち取った花道を走りタスキを繋いだ大森は、走ることを、やめた。

「クールダウンのジョグすらしませんでした。その後4年ほど、箱根駅伝をテレビで見ることもなく陸上競技の情報も一切見ませんでした。走ることが嫌いになってしまっていたんです。もう一生走りたくないと思っていました。ストイックになりすぎましたね。自分よりも短期間で速く走れる他の部員への嫉妬も強烈に感じていました。ひたすら精神的に追い込まれていました」


17インチのホイールにあわせた専用の4ピストン・ブレーキ・キャリパーを装備。急制動やタイトなコーナーへ侵入する際にもしっかりとスピードを落とすことができる。

高性能のエンジンを積んで走る車には、しっかりと止まれるブレーキが必要だ。エンジンのパワーを路面に伝えるために地面を掴むサスペンション、そしてタイヤも高性能でなければいけない。このバランスが崩れていれば、車は壊れる。強靭な意思で目標に向かった学生時代の大森は、エリートたちに勝つためには飲み会や友人との遊びには目もくれず、毎日の食事でも徹底して節制。練習に疲れを残さないために休日は部屋でくらす。すべてを捧げなければいけないとの一心で、日常生活には楽しみも必要であるというバランスを欠いていた。

走ることで得られる価値に再び気づく


2008年に大学を卒業したあとはスポーツと関係のない一般企業へ就職し、やがて地元である横須賀の企業へ転職。そこで地域活性や観光客の誘致に取り組む。2012年にはランニングがブームだったこともあり、横須賀でランニングのイベントを開催した。そこで見たものが大森の価値観を変え、再び挑戦するきっかけになった。

「市民ランナーが、タイムを狙うでもなく、ただ楽しそうに走っている姿が衝撃的でした。自分が知っている“ラン”とはまったく違うランニングがそこにありました。同時期に、ランニングを趣味にしている友人に横須賀で楽しく走れる道はないかと尋ねられ、ランナーが多く集まる道を紹介したらとても喜ばれたんです」


フロントにはパフォーマンスを高めるために設計されたバンパーを装着。大型のエアインテークを備え、エンジンとブレーキを理想の温度に維持。パフォーマンスと耐久性を高めている。

ただ楽しく走ることの価値、初めて走る道で感じる新鮮さ、この2つを知ったことが、大森のチャレンジが始まるきっかけだった。創業にあたっては「もっと自由に楽しく走れる世界へ」という言葉を掲げた。

「サーフィンをする人が、いい波が来るビーチを求めて一年中旅をする。それをサーフトリップといいます。ランをする人が、いい道を求めて旅をする、“ラントリップ”というスタイルがあってもいいんじゃないかと考えました。タイムや距離だけを走るモチベーションにしていたら多くの人は苦しくて続きません。ロケーションとコミュニティーとギア、これが楽しいものになると走ることも楽しいものになる。僕たちはそこにモチベーションを持てるようにしたいんです」

これまでは速くなること、強くなることを支えるためのソリューションとしてのランニングアプリしかなかった、と大森は分析する。そのほかに、「楽しく走るためのアプリ」をラントリップでは提供する。速く走らなければいけない、記録を伸ばさないといけないという旧来の価値観を打ち破る新しいランアプリは、旧来の趣味としてのランニングから、ランをライフスタイルとして生きる人々のコミュニティーを醸成するものだ。

だからRuntripは「走らないときに使ってもらえるランアプリ」だと大森は言う。走り終わったときにSNS機能で誰かとコミュニケーションする、他のランナーの投稿で評価の高いコースを探す、または旅先での気持ちいいコースを探す。例えば朝の京都を5キロも走れば、いくつもの世界遺産を巡れる。地元の、旅で訪れたランナーの投稿でコミュニティーは活性化している。

そのコミュニティーの存在は、新型コロナウイルス感染症の拡大をうけて大きな価値を持つことになった。多くのスポーツが制限されるなかで、ランニングだけは一定の配慮をしたうえで続けている人が多くいた。ランニングだったら身体を動かせる、とこれを機に走り始めた人も増えた。ラントリップのコミュニティーが、リアルに会えないランナー、実際に行くことが難しい場所にいるランナーとの交流を可能とし、それが各地のランナーを支えるモチベーションになった。

自分の脚で走ること、クルマで走ること


「これはかねがね考えていることなのですが、楽しく走るというのはゆっくり走ること、とは限らないんですよね。というのも、全力で走ることで得られるものもあって。それは車を運転しているとアイデアが湧く、という話に似ているんですが、John Cooper Worksはパワーがあってハンドリングに優れていて、安心して走れるじゃないですか。予想を上回る性能を車が発揮するから、いい意味でスリルがある。車に突き動かされるように走っているうちに、だんだん余計なことが頭の中から消えていくんですよね。全力で走れば心拍数もあがって呼吸が苦しい時間もあるけれど、それを通り越すと頭の中が不思議にクリアになる。日常のランニングでも、たまに思い切りパワーを使って走ってみたりするんですよ」


John Cooper Worksのために作られた、ヘッドレスト一体型のスポーツシート。クイックな挙動のなかでも身体をしっかり支えるので、ドライバーはアクセル、ステアリング操作に没入できる。

車で走るのも、いいものですね。自分の脚では出せないスピードを体験できて、しかも疲れない。そういって大森は笑う。

「創業から5年経って、いままではパッションで乗り切ってこられた部分があるんです。でもそろそろ思いや情熱だけでは駄目で、数字が伴うことが重要なフェーズに少し前から入っていて、考えることが多いんです。もう起業家というものから、経営者にならないといけない。抽象度の高い問いから、具体的な問いまで、ビジネスも、自分のライフスタイルとしても、これからも走りつづけてラントリップを持続的に成長可能なビジネスにしていかないといけない。僕の次の挑戦です」

より多くのランナーに走る楽しさを伝え、ライフスタイルのなかで走ることがさらに広まる。事業が成長し、大森が自分に少し贅沢することを許せるようになった時、その生活には情熱を刺激するJohn Cooper Worksがそばにいるのかもしれない。



大森英一郎◎法政大学在学中の4年生で、第84回箱根駅伝に出場。卒業後はリクルートグループ、観光系事業会社で地域活性化業務と、ランニング系NPOでの市民ランナーのレッスンやイベント開催に従事。観光業界とランニング業界で感じた課題を解決すべく、ライフスタイルとしてのラントリップの普及を提唱する。2015年株式会社ラントリップ設立。代表取締役に就任。


The MINI John Cooper Works Convertible


最高出力231HP、最大トルク320Nmを出力する2.0リッター、4気筒ツインパワー・ターボ・エンジンを搭載。MINIの標準より10mm低く設計されたスポーツ・サスペンションなど走る楽しさを凝縮したマシン。Normal,Green,Sportsの3つのドライビングモードを瞬時に切り替え、環境に配慮した街乗りからアグレッシブな走りまでを体験することができる。車両本体価格 ¥5,420,000から(消費税込み)


リアのコンビネーションライトにはさりげなくユニオンジャックをデザイン。哲学を受け継ぎながら、新しい時代にもフィットする存在。


レーシーな印象を与えるパンチング加工が施されたソフトグレインレザーのスポーツステアリングホイール。赤いステッチも情熱を刺激するアクセントに。



Classic Miniからの伝統であるセンター出しマフラー。従来型よりもエギゾーストパイプは大口径化。力強いサウンドを響かせ、五感をびしびしと刺激する。


電動で開閉するルーフには、グレーでユニオンジャックをデザイン。通常の目線では目に止まりくい部分まで、趣向をこらした意匠をあしらう。個性を大切にする人々から愛される所以だ。

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▼特集 Forbes JAPAN x John Cooper Works


#1本記事|一度は走ることをやめた。ラントリップ大森英一郎がランニング分野で起業し、再び高みを目指す理由
#2公開中|データとアスリートの知見を活かし、ビジネス領域に挑戦する元アスリート集団。テンシャル中西裕太郎の挑戦




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Promoted by MINI / photographs by 早坂直人(Y's C)/ styling by 井田正明 / text by 青山鼓

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