安価に“後付け”ができるという大きな強み
日本国内では、2021年に発売を予定する日産アリアのようにAlexaを販売時からビルトインするスマートカーもある。JVCケンウッドやパイオニア/カロッツェリアは、アフターマーケット向けカーオーディオ製品の中にAlexaの音声操作に対応するシステムを揃えている。
Alexa対応の車載デバイスはまだこれから普及が始まる段階にあるが、今後に向けて安価で設置も簡単なEcho Autoが弾みを付ける可能性は大いにある。
アマゾンにとってライバルであるグーグルはAndroid Autoを、アップルはCarPlayを、それぞれ車載用スマートプラットフォームとして持っているが、Echo Autoのように手軽にスマート機能を愛車に“後付け”ができる専用デバイスがないことが今後のシェア争いにどんな影響をもたらすのか要注目だ。
筆者が今年1月に米ラスベガスで開催されたエレクトロニクスショー「CES」でアマゾンのブースを訪れた時には、Alexaをビルトインしたキャデラック「CT5」に乗り込んでルートマップを検索したり、車内にいながらガソリンスタンドの給油代金をAmazon Payで支払えるデモンストレーションなど、最先端のソリューションが体験できた。Alexaをビルトインするランボルギーニ「Huracán EVO」は、音声操作により燃料の残量を確認したり、車両の故障診断にも対応するという。
2020年のCES会場で展示されていたAlexaをビルトインするランボルギーニ(Getty Images)
やはり家庭向けのEchoシリーズとは違う「ドライブに最適化された機能」が出揃い、日本の道路交通事情にフィットした使い方ができるようになることをEcho Autoに望みたい。アマゾンジャパンの大木氏もその点を今後の課題として受け止めながら、クルマのために役立つスキルなどをパートナーと一緒に速やかに進めたいと話す。
Echo Autoはあらかじめペアリングしたスマートフォンがあれば、カーシェアリングやレンタカーのサービスにより“借りたクルマ”でも使うことができる。都市生活者の自動車による快適で安全な移動を支えてくれるスマートデバイスになることを期待したい。