記事によると、ウーバーは新型コロナウイルスの打撃で苦戦中のフリーナウの買収を検討している。
関係筋の一人はブルームバーグの取材に、パンデミックによる移動の制限が、特に米国では配車サービスの需要を大きく低下させており、そのことが買収価格に影響を与える可能性があると話している。
ウーバーはロンドン交通局に営業ライセンスの更新を拒絶されていたが、不服を申し立てた結果、英国の裁判所は9月28日、同社に18カ月間の営業許可の延長を認める決定を下していた。
クランチベースのデータによると、フリーナウはこれまで約1億ドルの出資を獲得している。
ダイムラーはフォーブスのコメント要請に「マーケットの推測にはコメントしない」と回答した。BMWとウーバーからは期限までに回答が無かった。
ウーバーの株価は今年に入り22.7%の上昇となっている。配車サービスの最大手であるウーバーは、世界70カ国の1万都市でオペレーションを行っている。
しかし、アジアやロシア、欧州では近年、配車サービス市場の競争が激化しており、ウーバーはそれらの市場の一部から撤退した。それでも、同社がフリーナウの買収を検討しているのであれば、英国での法廷闘争に勝利したウーバーは、欧州市場でのプレゼンスをさらに拡大しようとしているのかもしれない。
昨年の売上は3100億円
フリーナウは以前はMyTaxiという企業名で知られた企業で、欧州で勢力を誇る複数の配車企業を傘下に持っている。その中にはギリシャに本拠を置き、ラテンアメリカ市場で人気の「Beat」や、フランスの「Kapten」、ルーマニアの「Clever Taxi」などが含まれている。
これらの企業を含めるとフリーナウは世界130都市に進出を果たしている。
ブルームバーグによると、フリーナウの昨年の売上は約25億ユーロ(約3100億円)で、2022年には80億ユーロ到達が予測されていたが、パンデミックを受けて大きく落ち込んでいた模様だ。フリーナウは今年4月には人員削減に踏み切っていた。
ウーバーからの買収提案は、フリーナウの運営元であるダイムラーやBMWにとっても好機といえる。両社はパンデミックによる打撃で事業再編を迫られているが、フリーナウは彼らが立ち上げた5社のモビリティ関連企業の1社に位置づけられている。
ダイムラーとBMWは2019年2月に合計10億ユーロを注ぎ、両社の都市型モビリティ事業を5つのサービスに統合する合弁会社をベルリンで立ち上げていた。配車サービスのフリーナウ以外の4社は、下記のような事業モデルとなっている。
リーチナウ:公共交通機関とカーシェアリング、レンタル自転車などを組み合わせて移動オプションを提供するマルチモーダルサービス。
チャージナウ:ドイツ国内および海外の公共の充電スタンドの発見や利用を快適にする充電ネットワーク。
パークナウ:駐車場の検索や予約、料金支払いを統合するデジタルプラットフォーム。
シェアーナウ:31都市に2万台の車両を用意して始動したカーシェアリングサービス。