調査会社マギッド(Magid)がホテル・観光・レジャー関連コンサルティング企業ホーワスHTLと共同で作成した「マギッドHTL予想トラッカー」では、現在も続く新型コロナウイルスの世界的大流行の影響により、ホテルの年間客室稼働数が今後1年間で29%減少し、ホテル業界では客室の売り上げだけで約750億ドル(約7兆9000億円)の損失が生じると予想した。
予想される売り上げ減少の背景には出張とレジャー両方の減退があるが、中でも今後1年以内に会議・総会に出席することに対する消費者マインドは22%減の大幅低下が予想されている。
マギッドの副社長で戦略コンサルタントのリック・ガーリックは「新型ウイルスが客室稼働率に継続して大きな影響を与えていることが予想される」と説明。9月の客室稼働数は39%減となる見通しで、夏の平均稼働率を70%と仮定した場合、稼働率は約43%へと減少するとしている。
ホーワスHTL米国のジョン・ファリード会長は「多くのホテル企業は、旅行についての消費者マインドに関するデータを活用せずに、年末までと来年に向けた新たな予測モデルを作っている」と指摘。「このデータを活用すれば、ホテル経営者は顧客の希望に対する理解を深め、消費者へのマーケティングを改善できる。そうすれば、この危機を切り抜け、業績を伸ばすことができるだろう」と述べている。
トラッカーでは、今年3月のパンデミック発生の1年前に集めた旅行に関する消費者アンケートのデータを基準値として使用。直近の7月29日~8月2日の調査では、今後2年以内にホテルに滞在するだろうと答えた消費者の割合は71%で、基準値の89%、今年6月初めの74%から低下した。今後1年以内にホテルに滞在すると答えた人はわずか56%で、こちらも基準値の79%、6月の62%から減少。一方、消費者が予想する年間ホテル滞在頻度は7.26回で、6月の6.74回、基準値の6.58回を上回った。
また、消費者の信頼度はホテルよりも貸し別荘の方が高く、貸し別荘業の見通しが明るいことが明らかになった。貸し別荘は短期的には需要が落ち込むと予想されるものの、回復ペースは他の業界よりもはるかに速い見通しだ。夏の終わりには64%の落ち込みが予想されたが、1年以内に通常の水準に戻ることが見込まれている。