フォーブスの30アンダー30受賞者であるアーサー・ウッズが共同設立したマティソンは、様々な非営利団体や専門家グループから人材を調達し、企業が特定のタイプの候補者と出会えるマーケットプレイスとして機能している。
マティソンという社名は、伝説的な天才数学者の英国のアラン・チューリングのセカンドネームに由来する。チューリングはコンピュータ・サイエンスの基礎を築いた人物だが、1950年代に同性愛者として迫害されたことでも知られている。
マティソンの共同創業者のウッズによると、企業が多様な人材を見つけ出そうとする場合、現状では採用担当者がリンクトインをチェックして、単純に候補者の写真や氏名から彼らのバックグラウンドを推測するケースが多いという。
「このやり方はとても表面的なもので、多くのコミュニティを除外してしまう」とウッズは話す。
マティソンは、外部の多様な組織と連携をとり、候補者を選び出す。同社のプラットフォームでは、個人が直接サインアップしてプロフィールを作成することができるほか、AIを使ってパートナーコミュニティの候補者を特定し、システムに招待することも可能だ。さらに、プロフィールはリンクトインのデータと紐づけが可能だ。
企業は、人種や障害、軍歴の有無などで候補者をフィルタリングしたり、特定のコミュニティとの関わりを指定して候補者の検索が行えるが、候補者の氏名や写真が表示されるのは、本人が同意してからになっている。
「この仕組みによって、プライバシーと人材の多様性を維持しつつ、好ましくない人々を排除できる」とウッズは話した。
マティソンは企業が支払うサブスクリプション費用と、マッチングが成立した場合に発生する仲介料を収益源としている。同社は現在、アクセンチュアやブリストル・マイヤーズ・スクイブ、チャールズ・シュワブなどの大手企業や、マットレス販売の「キャスパー」、ミールキットの「ハローフレッシュ」などの高成長スタートアップを含む50社以上のクライアントを抱えている。
BLM運動の影響で業績を拡大
同社はここ数カ月の間、売上を急激に伸ばしたが、背景にはブラック・ライブズ・マター運動の高まりがあげられるという。「ここ90日間ほどの間で、世界は激変し、当社のプラットフォームの重要性は飛躍的に高まった」とウッズは話す。
ウッズは同社を創業する前にソーシャルラーニングプラットフォームのImperativeに勤務し、テクノロジー業界最大のLGBTQ+コミュニティの1つである「Out in Tech」を共同設立していた。
彼は、全米LGBT商工会議所を通じてアイルランド系移民のデイブ・ウォルシュと出会い、昨年5月にマティソンを立ち上げた。
「ウッズと出会ったのは、インクルージョンがようやく広く注目されるようになってきた時期だった。テクノロジーを用いて企業の多様性へのシフトを牽引していきたい」とウォルシュは述べた。
マティソンは現在、15人の従業員を抱えているが、ここ2カ月ほどで事業規模は2倍に成長したという。