もはや「米国化」ではない BTSの活躍から考える文化のグローバリゼーション

文化のグローバリゼーションはもはや「米国化」を指すものではない(Photo by Getty Images)


グローバル文化の負の側面


文化のグローバル化は価値のあるものです。言語について考えてみてください。グローバリゼーションが始まる以前、16世紀の大航海時代以降、話し言葉は世界的にどんどん減少し、1万4500語から7000語以下まで減りました。
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ニューヨークタイムズによると、2007年までに残りの7000語についても消滅の危機にあります。1500言語においては2017年までに、その言語を話す人が1000人以下になったと世界経済フォーラムが報告しています。

国連教育科学文化機関、ユネスコは文化の単一化はさらなるリスクにつながるとRio+20で指摘しました。

「この現象は社会統合を促進し、地域文化の独自性を奪うことになります。これはアイデンティティの喪失につながるだけでなく、紛争さえも引き起こす可能性があります」とユネスコは2012年に伝えていました。今、起きているフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアに扇動された暴力の爆発は予測できていたのです。
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文化のグローバル化の経済的な影響もあります。すでに問題提起していた通り、ディズニーや21世紀フォックス、ソニー、バイアコムなどの10以下のソーシャルメディアとビックテック企業と呼ばれる会社が世界中のメディア、娯楽施設のシェアを占有しています。

市場の大きな占有を加速させる技術プラットフォームの出現は文化的な多様性を失う危機と隣合わせにあります。

私たちのほとんどはハンバーガーとフライドポテトが好きかもしれません。私たちが手にするフライドポテトと持ち帰り用のコーヒー、ファーストフード文化が世界規模の課題をより深刻にしているのです。

もし、世界中の人々が米国人たちと同じだけのハンバーガーを消費し、ゴミをだしたら、気候変動と汚染に対処することはできなくなり、今まで以上に肥満が病気の原因や死因になっていくでしょう。

文化の破壊か、それとも進化か


米国がけん引してきた文化のグローバリゼーションは自らを破壊する時限爆弾で、言語や文化、生活そのものを少しずつ殺してきたのでしょうか。文化のグローバリゼーションは地域文化に多様な外からの影響を与えることでより豊かにする現象なのでしょうか。または、よりよい政府やリーダーシップのように我々が知りえないところで社会や環境に対してより良い結果をもたらすものなのでしょうか。

現時点で「イエス」というのが、1つ目の問いに対する答えだとすると、フォンシや彼らの仲間たちが示したより多様化しているグローバリゼーションは完全に無視できなくなります。

ルイス・フォンシの例をまず取り上げましょう。プエルトリコ出身のシンガーは、ヒットシングルのデスパシートは、再生回数が最初に50億回を超えたユーチューブ動画や世界で最もストリーミングされた楽曲など、7個のギネス世界記録を更新しました。これにより、スペイン語やカリブ海諸島の文化でもグローバル文化に影響を与えることができることを示したのです。3億7200万人の英語のネイティブスピーカーに対して、スペイン語を母語とする人は4億3700万人であることを踏まえると、驚くべきことではありません。



BTSの例は、文化的なハンデが大きすぎるため、より印象的であるかもしれません。スペイン語は、北京語、英語と並んで世界で最も話されている上位3言語ですが、韓国語は上位10言語にもランクインしていません。実際のところ、韓国は約1世紀前まではその文化的経済的孤立から「隠者の国」と呼ばれていました。
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文=Peter Vanham, Head of Communications, Chairman’s Office, World Economic Forum

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