経済・社会

2020.09.05 07:30

富裕層がさらに裕福に コロナで拡大する経済格差


米メディアのVICE(バイス)は、「パンデミックが始まってから収入格差は広がり続けている」と指摘。英シンクタンクの英財政研究所(IFS)の報告書を引用し、超富裕層が富をさらに増やす一方で、収入面での打撃は最貧層20%の家庭で最も大きく、世帯収入中央値が15%ほど低下したと伝えている。

これはなにも新しい現象ではない。米CNNテレビは、2008年の経済危機からの回復時にも同じことが起きたと指摘。大半の米国人はこの時の影響から完全に回復しておらず、資産が経済危機以前の水準に戻った世帯は上位20%のみだったと伝えている。米国で最も裕福な400人は3年以内に資産が完全に回復し、10年間で資産を80%以上増やしたという。

今回のパンデミックにより、労働者の新たな最下層階級が誕生した。アマゾンの在庫を補充したり、スーパーで働いたり、小包を届けたり、ウーバーを運転したり、介護施設で高齢者の介護をしたり、さまざまなギグエコノミーや低賃金の職を掛け持ちしたりといった職業に就く、見過ごされている人たちだ。こうした“必要不可欠”な職業は、労働環境が悪く、健康面でのリスクが非常に大きい。多くの場合、こうした仕事は成長の機会がなく、抜け出すことができない。

このままでは、米国は中世の封建的な国になってしまいかねない。世の中を動かすエリートの支配層、そしてそれを支える一流の弁護士や会計士、管理者がいる一方、最下層には低賃金で自らの健康をリスクにさらしながら汚れ仕事を全て受け持つ労働者階級がいる社会だ。

だからといって、トップから富を取り上げる必要があるというわけではない。政治家たちは、残りの99%やその子どもが成功できるような道筋を確保するための賢い戦略を作り上げる必要がある。

編集=遠藤宗生

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