ビジネス

2020.09.07

プラットフォーム開発に学ぶ 「妄想から始める」という思考法

Compassionate Eye Foundation/Gary Burchell/Getty Images


プラットフォームを定義することは、できる限り多くのアプリケーションの使用を可能にし、プラットフォームが提供する機能や性能がアプリケーションの要求を十分に保証するものでなくてはいけません。その実現までに、非常に抽象度の高い妄想力が求められる作業です。

あらゆる可能性を妄想し、いったん抽象化することによって、将来開発される可能性のあるアプリケーションが見えてきます。すると、それを搭載できるプラットフォームにはどんな機能が必要なのかが見えてくるわけです。抽象的要素を加味したプラットフォームの原型が構想できれば、次はユーザーに期待される多様なユースケースを分析。それを満たす機能や性能を持っているかを検証することになります。

つまり、プラットフォームの構想において、「抽象化」から「具体化」へ移行していくということ。一般には、現存するアプリケーションをカバーし、将来のアプリケーションにまで対応できる進化型プラットフォームが求められますので、「具体化」のプロセスでは、プロダクトやサービスの将来像を含めた検討が必要となるため、想像力を要するというわけです。

このように、プラットフォームを定義する作業は、「抽象化」と「具体化」の間を行ったり来たりして修錬していくものなのです。プラットフォームに搭載するアプリケーションへの広く深い理解と、妄想力が不可欠です。

実際には、プラットフォームを構築する機会を得ることはそれほど多くないかもしれません。しかし、プラットフォームを構築する際に必要な抽象化と具体化、そしてそれらを往復しながら修練していく作業は、さまざまなビジネスにおいて力になるものだと思います。この妄想から始まる思考法は、一般的な見通しを超えた将来像を模索して、世界に向けて新たな価値を提供をしていくためのアプローチとして活用できるものであり、企業の内在的な問題解決に対しても効果を発揮できるものだと確信しています。

みなさんが、プラットフォームを構築するプロセスを通じて「妄想」し、その「妄想」が具体化され、世界市場においても評価されるビジネスとなればよいと願っています。

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文=茶谷公之

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