比較的大型の金鉱株をバスケットに組み入れている上場投資信託(EFT)のヴァンエック・ベクトル金鉱株(GDX)は、2020年の年初比で47%上昇している。これは、金地金の価格に連動するSPDRゴールド・シェア(GLD)の27%という上げ幅をはるかに上回る数字だ。
勢いが衰えない、金鉱株の上げ相場
そして今、金鉱株に関しては、上げ相場が本格化するのはこれからだとの見方が、アナリストのあいだに広まっている。
「我々が掲げた当初の目標価格にはすでに達している」と述べるのは、テクニカル分析を専門とする調査会社オールスターチャーツ・コム(AllStarCharts.com)の創業者、JC・パレツ(JC Parets)だ。「これは我々にとって非常に望ましい実績であり、値上がりのペースは我々の予想を上回っている」
確かに、わずか半年強の期間で47%の上昇というのは、目覚ましい実績と言える。
さらなる上昇の可能性も
バレツは現在、GDXの価格はさらに上昇し、2011年8月以降最高のレベルに達すると予想している。すなわち、現在は42ドル前後で推移しているGDXの価格が、65ドル80セントにまで上昇するというのだ。
金鉱株が60ドルの価格帯に向かっているのは間違いないと強気のパレツだが、このレベルに達する前には、チャーニング(手数料を稼ぐための不必要な売買)や上昇が一服する場面も発生すると見ている。通常、株価は一直線に上昇することはなく、重要な株価の節目に達すると、上げ相場がいったん小休止するのが通例だ。
ベテランの金投資家で、ファンド会社USグローバル・インベスターズ(U.S. Global Investors)を経営するフランク・ホームズ(Frank Holmes)は、過去の事例から、金の価格が大きく反落する可能性は低いと見ている。
あらゆる貴金属関連銘柄が過熱気味の注目を集めている現状を考えると、上げ相場の一服という現象が起きたとしても、長く続くことはなさそうだ。一服後のGDX価格は、史上最高値となる65ドル80セントへと向かうだろうと、パレツは予測する。仮に史上最高値に達すると、現時点の価格からさらに53%上昇し、投資家に利益をもたらすことになる。
ここまで達するのにどれだけの時間がかかるかは誰にもわからない。また、それまでのあいだには、価格が乱高下する時期もあるのは確実だ。だが、大半の金投資家は、そうしたことはすでに織り込み済みだ。