中国共産党系のタブロイド紙、環球時報は3日の論説で、米国はTikTokが米国のハイテク企業の脅威になるとみて、「臆病さ」からその禁止を脅し、「中国の最も競争力のある企業を殺そうとしている」と指弾した。
同紙の胡錫進編集長もツイッターで、TikTokの事業が買われるのは「公然の強盗」だと批判。「トランプ大統領はかつて偉大だった米国をならず者国家に変えようとしている」と続けた。
国営英字紙のチャイナ・デイリーも、ポンペオ米国務長官が2日、TikTokは安全保障上のリスクだとして、トランプ大統領が数日中に行動をとるなどとした発言について、米国の買い手企業を中国技術の公認の「窃盗」に参加するよう招くに等しいと断じた。
一方、インテリジェント企業ストラトフォーのアジア太平洋アナリスト、エヴァン・リースは、中国政府は対抗措置として「不買などの手段を通じて、国民の怒りの矛先を中国で事業活動を行う米企業に向かわせる」可能性もあるとみる。
リースはまた、ホワイトハウスから禁止を脅されるなかでTikTokの米国事業が売却されることになれば、「テック分野の米中二極化の傾向に拍車がかかる」のは間違いないと指摘。西側諸国は中国の影響に対抗し、中国の技術覇権への野望を牽制するために、国家安全保障面の対策を引き続き講じていくことになると予想する。
マイクロソフトはこれまでに、TikTokが米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで運営する事業の買収を検討していることを認めている。ロイター通信の先週の報道によると、親会社バイトダンスの一部の投資家は、TikTokの価値をおよそ500億ドル(約5兆2800億円)と評価しているという。