──特にコロナ禍においては、閉鎖された空間に「職場」と「家庭」が混在しているからこそ、全く関係ない人が心の支えになることもありますよね。
おっしゃる通りです。さらに、コンシェルジュの中にもワーキングママやパパがいるので、お客様と同じ悩みを抱えていることもあります。同じ悩みを分かち合うことで深い信頼関係を築くことができ、より深いニーズを引き出せるんです。
──コンシェルジュには、どのようなバックグラウンドを持った方が多いのでしょうか。
元々日本に無かった仕事なので経験者はいませんし、会社のゴールが「多様性が強みとして受け入れられる社会をつくること」なので、メンバーのバックグラウンドは多種多様です。
ただ、この仕事はお客様の声に耳をあて、寄り添う姿勢が一番大切です。価値観や考え方が人によって異なることを理解し、それを「判断」するのではなく「受け入れられる」人でなければいけません。コンシェルジュの皆さんには入社後傾聴力を磨くトレーニングを受けてもらいますが、テクニックでは埋められない「人の心に寄り添える温かい心」を持っていることは大前提です。
これからは「公私融合」の時代
──今回のコロナ騒動は新たな悩みを引き起こした一方、「働き方の多様化」が進むきっかけになったと思います。マニヤンさんは、コロナによって引き起こされた世の中の変化をどう捉えていらっしゃいますか?
以前、法人向けサービスを導入してくださった企業様が「従業員の皆さんは、社員である前に1人のお父さんであり、お母さんであり、人間である。これからは1人の人間として生活全体をサポートしていきたい」と仰っていました。在宅ワークを進める中で、今までは見えなかった「個人」の側面が見えるようになってきたので、こういった考えがより浸透していくと思っています。
勿論、少しずつ元の生活に戻りつつありますし、既に今までどおり出社をしている会社員の方も多いと思います。それでも従業員側の価値観に変化が起こったことは間違いないですし、何よりリモートでも仕事ができることが証明された今、さまざまな立場の方が働ける社会に一歩近づいたはずです。
提供しているプログラムに対してのフィードバックやコンシェルジュからいただく相談事は、この数カ月のうちにも変化が起きていて。今後新しい生活リズムや生活様式が定着する中で新たなニーズが生まれると思うので、お客様の声を聞きながらコンテンツを変化させていきたいです。
──最後に、今後の目標を教えてください。
以前は家庭と職場、それぞれの中できちんと役割分担がされていて、そのバランスを崩すと「公私混同」と揶揄されることがありました。しかし、働き方の多様化が進む今、良い意味で仕事とプライベートを融合する「公私融合」の考え方を広げていくことが大切だと思っています。そして「公私融合」を、法人向けサービスと個人向けサービス、二本の柱でサポートしていくのが私たちTPOの役割だと考えています。
また、今回のコロナ禍において、皆さんから「強い人間になりたい」とのお声をいただいています。ここでいう強さとは、「不測の事態が起こった際、自分なりの正解を導ける心の強さ」だと思います。そんな強い心を持つためには、まずは心が健康でなくてはいけません。そして、心の健康は我々が目標としている「ウェルビーイング」の実現に紐づくと考えています。我々のサービスを通してお客様の心に寄り添い、心の健康を含めた「ウェルビーイング」を実現することが、今後の目標です。