この際、個人が特定されるような情報提供はしませんが、「何歳くらいの方々がこのような問題を抱えています」といった統計データは企業側に公表しています。そのため、企業様からは「社員が抱えている悩みを知ることができるので助かる」との声をいただいています。
コンシェルジュサービスのイメージ
──そして、今年の5月には個人向けサービスをリリースされたんですね。
今までのビジネスモデルだと、企業が導入しない限り従業員の方はサービスを利用することができません。以前から「個人向けサービスも欲しい」との声はいただいていたので、サービスの開発自体は進めていたのですが、予期せぬタイミングでコロナの波がやってきて。在宅ワークが主流となった結果、ユーザーの皆様から新たな悩みの声が届くようになりました。
そこで、当初の予定よりも前倒しで個人向けサービスをローンチすることにしたんです。
──個人向けサービスの具体的な内容もお聞きしたいです。
たとえば、在宅ワークで頭痛や腰痛、眼精疲労を訴えるユーザーの皆様を対象とした、オンラインのヨガプログラム。プロの講師に、参加者のお悩みに合ったレッスンをしていただきます。
一方的な講義ではなく、先生と参加者がお互いにコミュニケーションをとれる「参加型企画」である点が特徴です。参加者の皆様に直接お会いできない分、別の方法でユーザーのニーズを拾える工夫を施しています。
──とはいえ、本来人と人とのコミュニケーションが肝となるサービス。オンライン上でしかやりとりできないことに不都合を感じることはありませんか?
たしかに弊社は「人間的なサービス」を大切にしているので、肌感のあるコミュニケーションがとれないことにもどかしさを感じる瞬間はあります。
しかし一方で、オンラインならではの良さもあるんです。オフィスで対面サポートをしている際はご本人にしかお会いできませんが、実際のその方の生活にはご家族や友人など、大切な方々が関わっています。オンラインのサービスではご本人を取り巻く周囲の方とも接点を持つことができるので、以前にはなかったコネクションを生むことができています。
少し遡りますが、4月にリリースしたお子様がいらっしゃる方向けのサービス、「ホーム・バディ」はその一例です。ご相談者さまが在宅ワークに集中できるよう、お子様と週に2日オンラインミーティングをし、自宅学習の意欲向上と、タスク管理をお手伝いしています。このサービスを通し、お子様が笑顔になれば親御さんも笑顔になり、親御さんが笑顔になればお子様も笑顔になることを実感しました。ご相談者さまを取り巻く、人間同士の有機的なつながりが見えることは、オンラインサービスならではの良さだと思っています。
関係ない人だからこそ、頼りやすかったりする。
──人と人とのコミュニケーションで成立するサービスだからこそ、コンシェルジュは非常に大切な役割を担っていますよね。マニヤンさんは、コンシェルジュはユーザーにとってどのような立ち位置であるべきだとお考えですか?
コンシェルジュは家族でも同僚でもない、「頼れる他人」であるべきだと思っています。会社に相談するようなことではないけれど、他に相談できる相手もいない。そんな風に感じているとき、全く関係のない人が温かく支えてあげることが大切だと思うんです。
たとえば「低コストでつくれる子供向けのレシピを教えて欲しい」というご相談は、その方が持つ悩みの入り口で、本質部分は「相談相手が欲しい」だったりする。子育てと仕事を両立できないストレスで子供に当たってしまい、それが原因で夫婦喧嘩が起き、さらに仕事が舞い込んで八方塞がりになってしまう。
こんなとき、全てを1人で抱え込んでパンクをしてしまう前に抜け道を用意するのが、コンシェルジュの役割だと思っています。