このワクチンに関しては現在、合計20億本以上の供給に関する合意が、英国、米国、欧州包括的ワクチン同盟(IVA:Inclusive Vaccine Alliance)、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI:Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)、Gaviワクチン・アライアンス(Gavi, the Vaccine Alliance)、インド血清研究所(Serum Institute of India)のあいだで結ばれている。
このワクチン「ChAdOx nCov-19(AZD1222)」は前例のないペースで開発が進められているが、ガーディアン紙によると、世界保健機関(WHO)がリストアップしたワクチン候補は140以上に上っている。効果的なワクチンは通常、製造承認を得るまでに何年もの開発期間を要するが、現在のパンデミック状況を鑑み、すでにいくつかの候補が臨床試験の最終段階に入っている。7月20日の時点で140種のワクチンが前臨床試験の段階にあり、動物に投与して免疫反応を誘発するかどうかが検証されている。
第1相の臨床試験では、ワクチン候補を少数の人に投与して安全性を確認する。WHOによると、19のワクチン候補がこの段階にある。第2相にあるワクチン候補は現在11種で、この段階では数百人を対象に投与がおこなわれ、さらなる安全性の検証や、投与量に関する問題点の洗い出しがおこなわれる。第3相は最後のハードルであり、数千人規模で投与がおこなわれ、最終的な安全性の確認がなされる。ここではとりわけ副作用の有無が焦点となる。
オックスフォード大学が開発中のChAdOx nCov-19(AZD1222)の場合、危険な副作用はみられなかったものの、70%の人が頭痛や発熱の症状を示した。研究チームは、これらの症状はパラセタモール(アセトアミノフェン)の投与で抑えられるとしている。
7月20日時点では、これを含めた3つのワクチン候補が最終の第3相に入っている。
開発段階別の新型コロナウイルスワクチン候補の数*
*2020年7月20日時点