リモートワークという「特権」 働き方にも格差反映

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新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって、世界中で大勢の人がリモートワークを余儀なくされている。だが、これはごく一部の人だけに許されている文字通りの特権だ。

米労働省の統計によると、米国で在宅勤務が可能な人は労働者全体の3分の1にとどまる。ただ国際通貨基金(IMF)の最新データによれば、より貧しい国では状況はさらに悲惨で、とりわけ所得が低い人は厳しい立場に置かれている。

「ノルウェーやシンガポールに比べると、トルコやチリ、メキシコ、エクアドル、ペルーでははるかにテレワークがしづらい。理由は単純で、大半の新興国・途上国では半数以上の世帯はそもそも自宅にコンピューターがないからだ」。IMFのエコノミストたちはブログにこう書いている。

一国内でも、コロナ危機は所得の低い労働者ほど影響が深刻になっているため、所得の不平等に拍車をかけることになりそうだ。

「(新型コロナウイルスによる)影響を一段と悪化させるかたちになっているのは、所得分布の最底辺に位置する労働者が、飲食業や宿泊業のように、最も深刻な打撃を受けている業界に偏っていることだ。こうした業界はとくにテレワークに向いていない」。ブログではこうも指摘している。

こうした業界では女性が比較的多く働いている。女性は育児や家事の負担も重くなりがちだが、あいにく、保育サービスもまたコロナ禍で大混乱に陥っている。

編集=江戸伸禎

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